052 崩れる「仕事熱心」な日本人観

1. エンゲージメントとは?

前回は、Legatum Instituteの公表している「繁栄度」について取り上げました。
日本は総合では149の国と地域中23位という悪くない順位でした。
しかし、人的関係の強さ、社会的支援、社会規範、市民参加といった「社会資本(Social Capital)」で断トツに低い101位という評価でした。

日本人の性質といった部分が、世界から見て低評価であるという事ですね。
今回は、日本人の性質にも関係する、「エンゲージメント」について取り上げてみたいと思います。
「仕事」は、私たち人間が生活の糧を得る手段とともに、人生のうち多くの時間とエネルギーを費やす活動ですね。

その仕事を行う場であり、多くの時間を過ごすのが「会社」です。
労働者でもある私たちは、そもそもこの「仕事」という活動、「会社」という場を楽しめているでしょうか。
あるいは熱意をもって仕事に取り組めているでしょうか。
最近では、「エンゲージメント」という観点が重要であると言われています。

エンゲージメントとは、従業員の会社や仕事に対する「愛着」や「思い入れ」「忠誠心」といったものです。
エンゲージメントの高い熱心な従業員が多いほど、企業は成長しやすいと言われています。
日本人は昔から一所懸命ともいわれる通り、自分の持ち場で懸命にやるべき事全うするという価値観が根強いように思います。

きっとこのエンゲージメントも高いのではないでしょうか。
アメリカのGALLUP社が2017年に行った、エンゲージメントに関する調査を見てみましょう。
 参考URL: State of the Global Workspace (GALLUP)

これは世界各国の労働者に次のような12の質問(GALLUP'S Q12)をして集計した結果となります。

<基本的要求>
Q01: 仕事において自分に期待されている事を知っている
Q02: 仕事を正しく遂行するための資料や設備を持っている

<個人的要求>
Q03: 仕事において、毎日最善を尽くすべきチャンスが得られる
Q04: 直近7日間において、良い仕事に対して称賛された
Q05: 上司や同僚は自分をいち個人として気にかけてくれている
Q06: 仕事で自分の成長を応援してくれる人がいる

<チームワーク>
Q07: 仕事において、自分の意見が取り上げられるように見える
Q08: 会社のミッションや目標が、自分の仕事が重要だと感じさせてくれる
Q09: 自分の同僚は質の高い仕事をしようとしている
Q10: 仕事で親友がいる

<成長>
Q11: 直近半年で、同僚が自分に「成長」したことを告げてくれた
Q12: この一年、仕事で学び成長する機会を与えられた

GALLUP社の調査では、上記の質問に対する回答をまとめる事で、次の3つの区分として集計しています。

Engaged: 従業員は、仕事や職場において、深くかかわりあいを持ち、夢中になって取り組んでいる。彼らは精神的には「オーナー」であり、成果やイノベーションを活性化させ、組織を前進させる。

Not engaged: 従業員は仕事や会社に対して無関心である。何故ならば彼らの要求は十分に満たされず、彼らはエネルギーや情熱を持つのではなく、単に職場で時間を過ごしているにすぎないからである。

Actively disengaged: 従業員は仕事についてただ不満でしかない。彼らは自分たちの要望が満たされない事に憤慨し、自分たちが不満であると振る舞う。毎日彼らは熱心な同僚たちの成果を潜在的に台無しにしている。

やや直訳的で理解しにくいと思いますが、私の英語力の足りなさのためご容赦ください。
(もっと良い訳があればコメント等で教えていただけると助かります)

2. エンゲージされない日本人労働者

表1 エンゲージメント調査結果 (GALLUP)

表1に集計結果を示します。

各国のEngaged、Actively disengaged, Not engagedの割合と順位を示しています。
また、Engagedの割合からActively disengagedの割合を差し引いたDI(Diffusion Index)のポイントと順位を付け加えています。

表の順番はDIの順位順です。
Engagedの割合が高い国ほど熱心な労働者の割合が高く、Actively disengagedの割合が高い国ほど、周囲にマイナスな影響を与える労働者の割合が高いと言えます。

DIはそれらの差し引きとなりますので、総合的にプラスの影響を与える労働者の割合を評価する指標と言えます。
もちろんDIがプラスで大きいほど良い影響を持つ労働者の割合が多いという意味です。

比較的新興国が上位に来る中、日本は140の国と地域中、なんと133位と最低レベルの順位となっています!
きっと上位に来るだろうという期待は、儚くも崩れ去りました。。

詳細としては、以下の通りです。
DI -17.1ポイント、133位
Engaged 6.2% 134位
Actively disengaged 23.3% 23位
Not engaged 71.3%

Engagedの割合が極めて低い事もありますが、Actively diengagedの割合が多く23位と上位に位置しています。
これらを差し引きしたDIも133位という結果となるわけですね。

日本と同様に最低レベルなのが、フランス、韓国、イタリア(最下位)です。
アメリカはEngagedが33.0%で9位、Actively disengagedが16.0%でで79位、DIが17.0ポイントで19位と高い水準です。
日本と比較されがちなドイツは、Engagedが15.2%で88位、Actively diengagedが15.2%で90位、DIがちょうど0ポイントで66位です。
Engagedが少ないけれども、Actively diengagedも比較的少なく、DIとしては順位を上げています。

日本は熱心な労働者が極めて少なく、周囲にマイナスの影響を与えるような労働者の割合もかなり高いという事がわかりました。
一つの要因は、給与水準が上がらない事、ブラック企業のような労働者に負担を強いる企業が多い事などがあげられるのではないでしょうか。
労働者のエンゲージメントを高めなければ、生産性の高いアウトプットは出てきませんね。

働き方改革が叫ばれる昨今ですが、このような最低レベルのエンゲージメントは改善されていくのでしょうか。
私たち企業経営者はいったいどうすれば良いでしょうか。

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