100 男女間の所得格差はどれくらい?

1. 所得十分位って何??

前回までは、G7各国の人口やGDPの関係について見てきました。
また、OECD加盟国にも日本のように人口減少している国がいくつかありますが、それらの国々は日本と異なり力強く経済成長している事が明らかとなりました。

経済成長が限界と言われる先進国でも少しずつ成長している中で、日本だけがやはり取り残されているようです。
また、経済停滞は少子高齢化や人口減少だけの問題ではないという事も言えそうです。
日本はなぜ経済がここまで停滞してしまったのでしょうか。
これからも少しずつ日本の経済統計を見ながら探っていきたいと思います。

今回は、男女の所得格差について着目してみましょう。
まずは、統計の数値の見方のおさらいをしてみたいと思います。

所得十分位数

図1 所得十分位

図1は所得十分位について説明した図です。

所得十分位とは、ある集団について、所得の低い順に並べていった時に、人数を10等分したときの分布を示します。
その10等分する9本の線を、それぞれ小さい方から第1十分位数、第2十分位数、、、、第9十分位数と呼びます。
第5十分位数はすなわち中央値となります。

10等分に区分されたエリアに含まれる人数はそれぞれ等しいのですが、そのエリアをやはり小さい方から第1十分位、第2十分位、、、第10十分位と呼びます。

経済統計データは平均値を用いることが多いですが、より実感値に近いのは中央値であるとも言われますね。
認識違いなどご指摘がありましたら、こっそり教えていただけると嬉しいです。

2. 男女間の所得格差はどれくらい?

さて、それではまず中央値の男女間の所得格差について見てみましょう。

比較的データの揃っている2014年のデータで比較します。
(チリだけ2015年のデータです)

性別による所得ギャップ 中央値 2014年 OECD

図2 性別による所得ギャップ 2014年
(OECD 統計データ より)

図2が中央値の性別による所得ギャップです。

どういうことかと言うと、男性の所得の中央値と、女性の所得の中央値を比較して、その差分を割合で数値化しています。
数値がプラスに大きいほど、男性の所得の中央値が女性の所得の中央値よりも大きく、男女間で所得の格差がある事を示しますね。

OECDで断トツの一位は韓国です!
なんと36.7%も男女間格差があります。

そして日本は堂々の第3位ですね。
男女間格差は25.9%です。

主要国では、カナダが19.2%(7位)、アメリカが17.5%(11位)、イギリス17.4%(12位)、ドイツ17.2%(13位)と続きます。
日本は所得の中央値で見ると、男女間の格差が大きい国である、という事が言えそうです。

ついでに、G7の男女間格差の推移も見てみましょう。

性別による所得ギャップ 中央値 推移 OECD

図3 性別による所得ギャップ 中央値 推移
(OECD 統計データ より)

図3がG7の男女間所得ギャップ 中央値の推移です。

各国とも右肩下がりとなっていて、ギャップが小さくなっている様子が分かりますね。
既に相当ギャップの小さいフランスやイタリアは横ばいに近い状態です。

日本は減少傾向ですが、この中では突出して高い数値である事も確認できると思います。

3. 低所得層、高所得層でも格差はあるか?

それでは、中央値だけでなく、低所得層、高所得層での格差はどのような状況なのかについても見てみましょう。

性別による所得ギャップ 第1十分位数 2014年 OECD

図4 性別による所得ギャップ 第1十分位数
(OECD 統計データ より)

図4が第1十分位数の男女間所得ギャップのグラフです。

第1十分位数ですので、所得十分位のなかで最も所得の低い層を区切る線で比較した数値となります。
中央値では断トツの1位だった韓国はやや後退して20.3%の第4位です、日本も後退し19.3%の第6位ですね。

低所得層では格差は依然大きいものの、中央値ほどは開きが大きくないと言えます。
最低賃金の影響もあるのかもしれません。

日本の最低賃金は時給レベルで見るとそこまで低くないようです。
各国の最低賃金比較についても、今度取り上げてみますね。

ちなみに、ドイツが18.2%と低所得層での格差が比較的大きいのは意外ですね。

性別による所得ギャップ 第9十分位数 2014年 OECD

図5 性別による所得ギャップ 第9十分位数
(OECD 統計データ より)

図5が第9十分位数の男女間所得ギャップのグラフです。

第9十分位数ですので、最も高所得な階層を区切る線で比較した数値となります。

韓国が38.5%で1位、日本が32.5%で2位ですね。
つまり、高所得層では日本は男女間格差が非常に大きいという事が言えます。
女性の管理職や経営者が少ない事(高所得層が少ない)や、女性の非正規(主にパートタイム)が多い事(低所得層が多い)が影響しているものと思います。

主要国ではやはりドイツが25.9%と比較的大きい数値となっています。
イギリスが23.3%、アメリカが22.6%、フランスが21.1%といった具合ですね。
ドイツやフランス、イギリスなどは、男性以上に女性の労働者が増えています。

これらの国が男女間の格差が日本よりも小さいのに対して、女性活用がまだ進んでいない日本では男女間の格差が大きいのは印象的ですね。
女性活用を、ダイバーシティ(多様性)と位置付けるのであれば、その価値を認め、男性に近い所得水準とすべきですね。

他の主要国ではそのようにしているのが、数値からもわかるのではないでしょうか。
ビジネスの多様性を考えるのであれば、女性の能力を正当に評価し、働き甲斐のある環境を整備する事も、企業経営者にとっては大切な事なのかもしれませんね。

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