050 はたして日本人は”幸福”なのか

1. 幸福な国の条件とは?

前回は、実在の企業の決算報告書の内容から、企業の海外進出により従業員や設備投資など、本来は国内で増えるべき要素が抑制されている状況を取り上げました。
私たち日本人は低所得化が進んでいるわけですが、それでも生活に対する満足感は決して低くないという不思議な状況です。
 参考記事: 貧困化と満足度の不思議な関係

果たして私たち日本人は、本当に幸福と言えるのでしょうか。
今回は、国連で公表している「World Happiness Report」から、日本人の幸福感について取り上げてみたいと思います。
 参考URL: World Happiness Report

表1 幸福度 World Happiness Report 2019

幸福度 順位表 2019年 World Happiness Report

表1が直近の2019年の幸福度に関する順位となります。

上位20国と、OECDの主要な国、BRICsだけ抜き出したリストになっています。
156の国と地域のうち、日本は58位というかなり残念な結果のようです。

アメリカやドイツなど主要国はほとんど20位以内に入るのに対して、G7で最下位、OECDでもトルコやギリシャ等よりは高い順位ですが下から5番目、韓国やBRICsのブラジルよりも低い順位です。
2013年の時点では、日本は43位でした。
年々順位を下げ、2019年度では58位という結果です。

細かく要素を見ていきましょう。
World Happiness Reportでは、表の通りいくつかの要素について評価しています。
それぞれの要素の数値は、要素ごとの順位を示します。

1. ポジティブ感情(Positive Affect)
幸福や楽しみを図る評価基準。
「昨日多く感じた感情は何ですか?」といった質問に関するポジティブな回答を数値化したもの。

2. ネガティブ感情(Negative Affect)
ポジティブ感情と同様な質問に対して、悲しみ、心配、怒りなどのネガティブな回答を数値化したもの。

3. 社会的支援 (Social Support)
「あなたがトラブルに見舞われた際に、助けてくれる知人や友人がいますか?」といった社会的な支援に関する質問に対しての回答を数値化したもの。

4. 自由度 (Freedom to make life choices)
「あなたの人生における選択の自由について満足していますか?」といった人生の選択の自由に関する質問に対しての回答を数値化したもの。

5. 汚職・腐敗 (Perception of Corruption)
「政府の至る所で汚職や腐敗は広がっていますか?」、「ビジネス内での汚職は広がっていますか?」といった汚職や腐敗に関する質問に対しての回答を数値化したもの。

6. 寛容さ (Generosity)
「あなたは先月慈善活動などに寄付をしましたか?」といった寛容さに関する質問に対しての回答を数値化したもの。

7. 1人あたりGDP (GDP per capita)
購買力平価調整済み(2011年基準)の1人あたりGDPの順位。

8. 健康寿命 (Healthy Life Expectancy)
健康寿命の順位。

2. ポジティブさ、寛容さが低い日本人

各項目の日本の順位は、次の通りです

1. ポジティブ感情 73位
2. ネガティブ感情 14位
3. 社会的支援 50位
4. 自由度 64位
5. 汚職・腐敗 39位
6. 寛容さ 92位
7. 1人当たりGDP 24位
8. 健康寿命 2位

上位国が軒並み低い順位なので、おそらくネガティブ感情は、順位が高いほどネガティブな感情が少ない、という事かと思います。
日本人は、ポジティブな感情が少なく、ネガティブな感情も少ないという事のようですね。
1人あたりGDPや健康寿命は良い順位ですが、そのほかの順位はあまりよくないものが目立ちます。

自由度64位というのも、非常に低い順位ですね。
ただこの数値は、イギリス、フランス、アメリカと同程度のようです。

寛容さが極端に低い順位です。
あまり寄付行為が一般的ではないと思いますので、この順位が低いのはやむを得ないのでしょうか。

総合すると、日本人は所得や健康以外の感情面では、あまり幸福とは言えないようです。
(あくまでも国連の評価基準に沿えばですが)

むしろ、所得水準や健康寿命の割には、幸福感を感じられていない国民という結果と受け取っても良いのかもしれません。
その所得も年々順位を落としています。
もっと幸福感が得られるような社会とは何か、このリストを見てヒントがあるような気もします。

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