129 日本の物価 - モノが高くサービスが安い

1. 公共事業が高い

前回は、私達消費者が購入するモノやサービスの物価比率にフォーカスしてみました。
物価比率は徐々に下がっていて、総合すると先進国で最も物価の高い水準から、中程度まで落ちてきたようです。
食品はかなり下がっていますが、それでも他の先進国と比べると大幅に割高な事がわかりました。
また、娯楽・文化や通信は、むしろ上がっているという事もわかりました。

今回は、物価比率の中でも、私たちが直接購入しないようなモノやサービスについてもフォーカスしてみましょう。
物価比率を統合するには、私達消費者が購入する消費以外にも、企業や政府が購入するようなものもありますね。

機械設備公共事業などがまさにそうです。

消費者物価指数(CPI)は私達消費者が普段購入するモノを測定しますが、GDPデフレータや、購買力平価(PPP)などはそれ以外のモノやサービス等も測定し、総合的な指数として評価されています。

日本 物価比率 現実集合消費

図1 日本の物価比率 現実集合消費 他
(OECD統計データ より)

図1は現実集合消費(Actual Collective Consumption)や、家計最終消費支出などに区分をまとめ直した場合の消費の物価比率を示しています。

OECDの平均値を100とした場合の、日本の物価の比率です。
先進国のなかで、どのような水準かを比較できますね。

集合消費は、集団的消費とも言われていて、個人ではなく集団的に消費されるものだそうです。
公共事業や行政サービスのうち防衛や治安維持などが該当しそうですね。

現実集合消費は総合すると111→102と減少しているようです。

総資本形成は115→119と増加していますね。
総資本形成の内訳が機械設備と建設になると思います。
機械設備は129→105と大分価格が下がっているようですが、建設は107→146と大幅に増大しています。
人手不足による工賃アップなどが要因でしょうか。

総合すると、総資本形成として115→119という事になります。

図1の右側は区分を変えてみたときの物価比率ですね。
最終消費(家計と政府の総合)は、115→106です。
家計最終消費が123→110で減少、政府最終消費が96→100で増加しています。

先進国平均の100に双方が近づいているような状況ですね。

2. 財・サービスの物価比率

日本 物価比率 財・サービス

図2 日本の物価比率 財・サービス
(OECD 統計データ より)

図2が財・サービスを形態別に集計し直したものになります。

=モノですね。

財の物価比率は総合すると125→120で下がっています。
消費財 133→121
非耐久財 148→131
半耐久財 142→103
耐久財 95→103
資本財 115→119

消費財は家計で消費されるモノ全般ですね。
133→121と高い水準から少し下がっているようです。

非耐久財は、比較的短期間で消費し、使用回数も少ないモノのようです。
日本では想定耐久年数が1年未満のモノと定義されているようです。
食料、光熱・水道、保険医療品などを含みます。
日本は148→131と、かなり高い水準のようですが、やや下がっているようです。

半耐久財は、非耐久財よりも耐用年数が長いモノのようです。
衣類やスポーツ用具、傘、鞄などが含まれます。
こちらも142とかなり高い水準でしたが、103と平均並みまで下がったようですね。

耐久財は比較的長期にわたって何度も使用するモノですね。
テレビ、パソコン、眼鏡などが含まれます。
95→103と、こちらはむしろ価格が上がっています。

生産のために使われるモノが資本財ですね。
機械設備などが含まれます。
115→119とやはり価格が上がっているようです。

耐久財や資本財が値上がりし、非耐久財や半耐久財が値下がりして、財そのものとしては若干価格水準が下がっていると言えそうです。

サービスも総合すると106→100で物価比率が下がっているようです。

消費者サービス 114→101
政府サービス 96→100
公共サービス 111→102
個別サービス 89→100

個別には上がったり下がったりしていますが、ちょうど先進国の中くらいの水準に落ち着いているという感じですね。

3. 日本の物価の特徴

今回は日常的な消費以外の物価についてフォーカスしてみました。
日本では建設の価格が割高なようですが、それ以外は比較的先進国の標準並みの物価比率のようです。

また、モノとサービスで区分けした場合には、サービスは標準並みですが、モノはは非耐久財(131)、資本財(119)など割高なモノも多いようです。

物価比率は落ちていますが、まだ完全に落ち切っているわけではなく平均値から見れば割高な領域も存在するという事ですね。
建設や通信など、むしろ上がっているモノやサービスもあるようです。

日本がこの後どのように経済が推移していくのか、物価比率の面からもチェックしていきたいと思います。


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