138 「政府の支出」を比較してみる!
1. 公的需要を可視化してみる
前回は、GDP支出面の項目のうち、政府最終消費支出についてフォーカスしてみました。
日本は、社会保障負担の増大とともに、政府最終消費支出が増えています。
国際比較してみると、どうやら元々の水準が低めで、増大と共に現在は先進国平均並みといった具合のようです。
総資本形成は、過剰に大きな水準から減少して、現在は先進国並みとなっているようですので、現在はちょうど双方のバランスが取れているのかもしれません。
今回は、総固定資本形成(公的)と政府最終消費支出を合わせた、公的需要について取り上げたいと思います。
OECDやIMFのデータなどを色々と調べてみたのですが、総資本形成について公的として区分・集計しているデータを見つける事はできませんでした。
したがって、総固定資本形成(公的)の代わりに、総固定資本形成(一般建造物)を用いて評価してみたいと思います。
一般建造物の多くは公的需要によるものと考えられるためです。
この指標を、公的需要の近似値として扱っていきます。

図1 政府最終消費支出+総固定資本形成 一般建造物 2018年
(OECD 統計データ より)
図1が政府最終消費支出と総固定資本形成 一般建造物を合算した指標のグラフです。
2018年の1人あたりドル換算した数値となります。
日本は10,693$で、OECD35か国中18番目と丁度真ん中の順位です。
数値もOECDの平均10,972とほぼ同水準です。
やはり、ノルウェー、スウェーデンなどの北欧諸国や、ルクセンブルクなどの国が上位を占めますね。
次いでG7各国と韓国、東欧諸国といった順番となっています。

図2 政府最終消費支出+総固定資本形成 一般建造物 1人あたり 推移
(OECD 統計データ より)
図2が主要国についての推移のグラフです。
1990年~2000年代前半までは日本が過度に大きな時期がありましたが、それ以外は日本はほぼ他の主要国並みの水準ですね。
韓国が順調に増大し、イタリアが2007年頃から減少傾向のようです。
日本は、政府支出としては一時期を除いて平均並みと言えそうです。
2. 対GDP比についても見てみよう!
それでは、もう一つの指標として、対GDP比についても見てみましょう。

図3 政府最終消費支出+総固定資本形成 一般建造物 対GDP比 2017年
(OECD 統計データ より)
図3が対GDP比の国際比較のグラフです。
やはり上位は北欧諸国が多いですね。
ノルウェーは34.2%となります。
日本は26.9%と14番目に多い水準ですね。
OECDの平均値25.5%よりもやや多いようです。
逆にアメリカは金額としては日本よりも大きかったですが、対GDP比では18.8%にまで小さくなります。
1人あたりGDPの格差がそれだけ大きい事もありますが、アメリカは家計消費が圧倒的に大きいのでその影響もありそうですね。
イタリアも22.5%とかなり割合が小さい部類に入ります。
イタリアの場合は、経済が停滞し、政府支出を抑えている影響と考えられそうです。
緊縮財政で有名なドイツはやはり、23.7%で下位に位置します。

図4 政府最終消費支出+総固定資本形成 一般建造物 対GDP比
(OECD 統計データ より)
図4が対GDP比の主要国の推移グラフです。
アメリカは低い水準をキープしていてやや減少傾向のように見えますが、概ねどの国も横ばいです。
日本も大よそ25~27%のあたりで推移しています。
GDPが停滞している分だけ、対GDP比はやや高めになっていると考えられます。
3. 政府支出は平均並みの可能性
いかがでしょうか、今回はOECDのデータから政府支出についてフォーカスしてみました。
日本は、総固定資本形成(公的)は多め、政府最終消費支出は少なめだったので、双方合わせた政府支出は平均並みとなります。
現在までのところ、政府もそれなりに支出をしている、と言う事ですね。
ただし、今回は総固定資本形成(公的)の代わりに、総固定資本形成 一般建造物を代用して評価していますので、厳密ではない点にご留意ください。
色々と調べた中で、政府支出を国際比較しようとすると、社会保障費用等を含んだ政府支出(General Government Spendingまたは、General Government Total Expenditure)を扱うしかなさそうです。
せっかくなので、次回はIMFのデータから政府の収入と支出、収支について取り上げていきたいと思います。
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・本ブログに用いられる統計データは政府やOECDなどの公的機関の公表しているデータを基にしています。
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