142 実は少ない政府の収入と支出

1. 先進国では低水準な政府収入

前回は、政府の収支や負債についてフォーカスしてみました。
各国の通貨ベースの推移と、成長率について取り上げてきました。

ある指標を国債比較するのはとても難しいですね。
本ブログでも、時系列データは以下の4つの方法で比較しています。

① 各国ごとの通貨ベースで評価
 課題:そもそも通貨が異なるので、各国ごとのグラフにしかできない

② ある時点からの成長率
 課題:基準年の取り方で成長の具合が異なって表現される、各国の水準がわからない

③ ドル換算での比較
 課題:為替レート換算の場合、為替変動の影響を受ける、購買力平価換算の場合そもそも指数の正確性に課題がある

④ 対GDP比での比較
 課題:総量がわからない

さらにこれに、1人あたりにするかどうか、物価の影響を考えるかどうか(名目 or 実質)という選択肢がありますので、比較の仕方も膨大になりますね。

今回は、政府の収入や支出について国民1人あたりのドル換算のグラフ(③)と対GDP比のグラフ(④)をご紹介していきたいと思います。

1人あたり政府収入 主要国 IMF

図1 1人あたり政府収入
(IMF World Economic Outlook Database より)

図1が人口1人あたりの政府収入です。

G7と、北欧代表でスウェーデン、経済成長中の中国と韓国を入れてみました。
日本は2002年あたりまでは他の主要国と同じくらいの水準でしたが、それ以降は横ばいが続いています。

他の主要国では更に高い水準で推移していますね。
直近の2019年の数値は以下の通りです。

13,842$ 日本
19,176$ アメリカ
21,698$ ドイツ
2,2020$ フランス
2,5058$ スウェーデン

他の主要国と比べると大きな差がある事がわかりますね。

政府収入 対GDP比 主要国 IMF

図2 政府収入 対GDP比
(IMF World Economic Outlook Database より)

図2がその時々のGDPに対する比率に換算した政府収入の割合です。

アメリカや韓国は税率も低めで20~30%くらいですね。
カナダやドイツなど他の主要国は40~55%くらいです。
日本は30~35%程度で推移していて低めの水準である事がわかります。

高負担高福祉と言われるスウェーデンは近年では収入の割合が減ってきていて、現在はフランスよりも低い水準です。
直近では、の2019年の数値は次の通りです。

34% 日本
29% アメリカ
23% 韓国
53% フランス
47% ドイツ
41% カナダ
49% スウェーデン

アメリカは1人あたりGDPが大きいので、金額は大きいですが、GDPに占める割合は小さいようです。
日本は政府の収入が金額としても、水準としても小さい方である、と言う事が言えそうです。

2. 実は政府支出も少ない

次に、政府支出についても見ていきましょう。
日本は収入が少なく負債が増えていますので、さも支出が多いのではないかと予測されます。

1人あたり政府支出 主要国 IMF

図3 1人あたり政府支出
(IMF World Economic Outlook Database より)

図3は人口1人あたりの政府支出のグラフです。

政府支出もやはり2002年あたりまでは他の主要国と同程度だったようですが、それ以降はかなり数値が低いようです。

2019年の数値は以下の通りです。
15,171$ 日本
23,319$ アメリカ
20,991$ ドイツ
23,276$ フランス
24,851$ スウェーデン

日本は支出面でも他の国の水準よりも小さいことがわかりますね。
ただし、収入よりもやや大きい数値である事がポイントだと思います。

政府支出 対GDP比 主要国 IMF

図4 政府支出 対GDP比
(IMF World Economic Outlook Database より)

図4は政府支出の対GDP比の推移です。

やはり日本は水準としては小さい方ではあるようです。ただし、1997年と2009年に階段のように上昇している部分がありますね。
1980年代は30%程度だったのが近年では40%近くにまで増大しています。
直近の数値は下記の通りです。

38% 日本
36% アメリカ
45% ドイツ
56% フランス
23% 韓国
48% スウェーデン

やはり日本は支出が少ない方と言えそうですね。

3. 政府の収入も支出も少ない日本

いかがでしょうか、今回は政府の収入と支出についてフォーカスしてみました。
日本は、金額的にも割合的にも、他の主要国と比べると政府の収入も支出も比較的少ない国と言えそうですね。

経済発展が著しい韓国や中国はわかりますが、日本は成熟国家としては政府の役割が小さな国と言えるのかもしれません。
ただし、収入よりも支出の方が大きい状況が続いていますので、収支マイナスが継続し、負債が増え続けている、と言う事は言えそうです。
日本だけ他国と異なるのは、経済成長していない、という部分ですね。

重要なのは、収支のバランスだけではなく、いかに経済を成長させて総量を大きくしていくかと言う事なのではないでしょうか。

皆さんはどのように考えますか?

次回は収支と負債についての比較をしていきたいと思います。

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