204 労働の価値が低い日本のビジネス

1. 労働時間あたりの生産性

前回は主要国について、産業別の1人あたり付加価値、平均給与、労働分配率をご紹介しました。
情報通信業や金融業など生産性も平均給与も高い産業や、建設業や公務・教育・保健などどちらも低い産業は各国とも共通しているようです。

日本は比較的、エリート産業では生産性はそれなりですが給与水準が低く、生産性の低い産業では給与水準が高めです。
総合して、日本は給与水準が低い一方、産業間の給与格差が小さい国と言えそうです。

今回は、各国の「産業別労働時間」のデータから、時間当たりの労働生産性や平均時給をご紹介したいと思います。

残念ながら日本とアメリカは産業別の労働時間がないため、全産業平均値の推移からご紹介していきましょう。

まずは時間当たりの労働生産性からです。

労働生産性 全産業平均

図1 労働生産性 全産業平均
(OECD統計データ より)

図1が主要国についての労働生産性をグラフ化したものです。
ドル換算値での比較になりますので、為替の影響を受けます。
ポンドやユーロはリーマンショック以降通貨安が進んでいるため停滞気味のグラフとなります。

日本はリーマンショック後2013年ころまでは円高になりましたので、この期間の数値がかなり高くなっています。

アメリカの労働生産性は順調に成長を続け、直近では70$/時間を超える高水準であることがわかります。

おいつやフランスなども1994年の時点が30$/時間程度からすると、60$/時間程度と大きく生産性が向上しています。

日本は直近で40$/時間程度でイタリアと最下位争いをしているような状態ですね。

2. 平均時給も低い

平均時給 全産業平均

図2 平均時給 全産業平均
(OECD統計データ より)

図2が平均時給となります。
平均時給は、給与所得を総労働時間で割った数値となります。

やはり、労働者の平均時給で見てもアメリカが大きく、次いでドイツ、フランス、そしてイギリスという順番です。

アメリカは40$/時間を超えるわけですね。
労働者の平均時給が円に直せば4000円を超えるわけです。

一方日本はイタリアと最下位争いをしていて直近では20$/時間程度ですね。
アメリカの約半分になります。

3. 生産性も給与も低い日本

年間の合計値で見ると、日本はまだ他の主要国と大きな差はないようなデータでしたが、労働時間あたりに直すと大きく見劣りする状況のようです。

直近の数値で比較してみましょう。

労働生産性 平均時給 平均労働時間 全産業平均

図3 労働生産性 平均時給 平均労働時間 全産業平均
(OECD統計データ より)

図3が直近の2019年のデータをまとめたものです。
日本は2018年のデータとなります。

主要国のうち日本は労働生産性で7か国中6位、平均時給で6か国中5位です。
いずれも最下位のイタリアとそれほど変わらず、アメリカを始めドイツやフランスとも大きな差を付けられている事がわかります。

平均労働時間で比較すると、日本はアメリカと同程度ですが、ドイツやフランスよりも労働時間が長いようです。
時間当たりの仕事の価値のつけ方に大きな違いがありそうですね。

4. 各産業の労働生産性と平均時給

せっかくですので、産業別の労働生産性と平均時給についても、特徴的なものをピックアップしてご紹介します。

労働生産性 平均時給 平均労働時間 工業

図4 労働生産性 平均時給 平均労働時間 工業
(OECD統計データ より)

図4が工業のグラフです。

各国とも全作業平均値よりも労働生産性も、平均時給も高い水準ですね。
一方で、労働時間もやや長めです。

労働生産性 平均時給 平均労働時間 金融業

図5 労働生産性 平均時給 平均労働時間 金融業
(OECD統計データ より)

労働生産性 平均時給 平均労働時間 情報通信業

図6 労働生産性 平均時給 平均労働時間 情報通信業
(OECD統計データ より)

図5が金融業、図6が情報通信業です。
全産業平均値と比べれば、非常に高水準であることがわかります。
特に金融業では、イギリスとイタリアが平均値よりも大きく上回る水準に達しています。
平均労働時間はやや長めですね。

労働生産性 平均時給 平均労働時間 一般サービス業

図7 労働生産性 平均時給 平均労働時間 一般サービス業
(OECD統計データ より)

労働生産性 平均時給 平均労働時間 専門サービス業

図8 労働生産性 平均時給 平均労働時間 専門サービス業
(OECD統計データ より)

図7が一般サービス業、図8が専門サービス業のグラフです。
どちらも全産業平均値より低めですね。

平均労働時間は全産業平均値と同程度のようです。
イタリアの一般サービス業の労働時間だけ突出しているのが興味深いですね。

労働生産性 平均時給 平均労働時間 建設業

図9 労働生産性 平均時給 平均労働時間 建設業
(OECD統計データ より)

図10 労働生産性 平均時給 平均労働時間 公務・教育・保健
(OECD統計データ より)

図9が建設業、図10が公務・教育・保健のデータです。

建設業は労働生産も平均時給も低く、平均労働時間も総じて長い産業のようです。
一方で公務・教育・保健は生産性は総じて低いですが、平均時給はそれなりの水準で、平均労働時間も短めですね。

産業によって大きく差があるのがわかります。

5. 「労働」と「労働者」の価値が低い日本のビジネス

今回は、労働時間当たりの生産性や時給について取り上げてみました。

前回まで見てきた通り、日本は年間の生産性では他の主要国とそれほど差異がありません。
年間の給与水準でも、他の主要国と比べると低い水準ではあるものの、そこまで大きな差がありませんでした。

ところが、労働時間あたりに直してみると、アメリカはおろかドイツやフランスにも大きな差を付けられている状況です。
G7最下位のイタリアとほとんど変わらない水準であることがわかりました。

時間当たりの水準は低いながらも、長い時間働いて年間である程度帳尻を合わせている状態ですね。

これは、「効率」が悪いという言い方もできるかもしれませんが、これまでも述べてきた通りビジネスにおける「人の仕事の価値」が低いという特徴もあるように思います。

日本のビジネスでは、何でも「サービス」という名の無償労働にしがちですね。
更に、そういった仕事を低賃金の労働者で賄おうという意識も強いように思います。

日本経済の低迷は、このように労働そのものの価値を自ら下げ、労働者=消費者をできるだけ安く使うという商習慣にもあるような気がします。

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