207 日本人は働きすぎ!? - 時間の使い方国際比較

1. 平均労働時間は減っているけど、、、

前回は、家計収入構造について可視化してみました。
日本の家計収入は、世帯主の収入以外にも配偶者収入社会保障給付などが加わります。
一方で、TVでも個人向けの株式投資のCMなども流れていますが、株式投資による配当金は微々たるものであることもよくわかりました。
最も多い60~69歳で、利子・配当金は1世帯あたり年間4万5000円(全世帯平均)程度です。

今回は、日本人の時間の使い方や労働時間についてフォーカスしてみたいと思います。
日本はバブル崩壊以降、非正規労働者が増え、女性や高齢労働者が増えることで、平均労働時間は減少しています。
 参考記事: 長時間労働は過去の話?

平均労働時間

図1 平均労働時間
(OECD統計データ より)

図1がOECD各国の平均労働時間です。
日本はバブル崩壊以降急激に平均労働時間が短くなり、アメリカはおろか、イタリアやカナダよりも短くなっています。
OECDの中ではちょうど平均値くらいの水準です。

ただ、一方でドイツやイギリス、フランスなどさらに労働時間が短い国々があるのも事実ですね。
日本の1人あたり付加価値(年間の付加価値)はそれなりに高いものの、時間当たりの労働生産性になると大きく見劣りするのもこの労働時間の相違によるものが大きいようです。

平均給与 長時間労働率 2017年

図2 長時間労働率 平均給与 相関図
(OECD東経データより)

一方で、図2は各国の長時間労働率について、平均給与との相関図を示したものです。
長時間労働率は、週に50時間を超える労働者の割合です。
この指標では日本は韓国とともにかなり高い水準であることがわかります。

はたして日本の労働者は働かなくなったのでしょうか?あるいはいまだに働きすぎなのでしょうか?

2. 「仕事ばかり」の日本人男性

OECDで興味深いデータが公開されていましたので、ご紹介します。

1日の時間の使い方 男性 15~64歳

図3 1日の時間の使い方 男性 15~64歳
(OECD統計データ より)

図3が、15~64歳の男性の1日のうちにどのような活動に、どれくらいの時間を費やしているかを表したグラフです。

有償労働または学習(Paid work or study):
仕事または学生の場合は学習(宿題含む)

無償労働(Unpaid work):
育児、介護、買い物、家事、ボランティア活動、家族旅行などの無償労働

日常生活(Personal care):
睡眠、休憩、食事、リラックスが目的の旅行など個人的なケアに必要な活動

娯楽(Leisure):
文化的な活動や、スポーツ、趣味、ゲームなどの娯楽に関する活動

このデータは国によって調査の年が異なります。
日本は2016年、アメリカは2019年、ドイツは2012~2013年の調査結果のようです。

日本の男性は、メキシコに次いで有償労働が長く、1日(1440分)のうち、452分費やしているようです。
もちろん、休日なども含めて1日当たりに換算していると思いますので、平日の時間の過ごし方の印象とは異なる点はご注意ください。

イタリアが221分、フランスが235分と比べ、2倍前後働いていることになりますね。
ドイツと比較しても1.5倍くらいです。

一方で、家事などの無償労働は41分と、先進国で最低です。
お恥ずかしながら私も思い当たる節がありますが、日本人の男性は家事をしないというのはその通りのようですね。
お隣韓国も似たような傾向のようです。

一方で、アメリカは166分、ドイツは150分、デンマークに至っては186分(3時間以上!)を無償労働に費やしています。
文化や習慣の違いもあると思いますが、この差は非常に大きいですね。

いかに日本の男性が、仕事ばかりしていて、家族との時間を持てていないかが良くわかります。
もちろん、それだけ仕事で精いっぱいな人も多いのが実態かもしれませんが、、

3. 女性の労働時間も多いのか?

せっかくですので、女性の調査結果についても眺めてみましょう。

1日の時間の使い方 女性 15~64歳

図4 1日の時間の使い方 女性 15~64歳
(OECD統計データ より)

図4が女性のグラフです。

有償労働の時間が多い順に並べているのですが、日本は先進国で4番目に女性の労働時間が長い国となっています。
日本より上位の国がラトビア、リトアニア、スウェーデンです。
実は日本の女性は他の先進国よりも働いているという事になりますね。

無償労働は他国並みか、他国よりもやや少ないようです。

4. 労働時間の長い日本人

日本の労働者の労働時間は、男性も女性も長いという事が考えられそうです。
つまり、高齢労働者が増えた分だけ平均値は下がっているけれど、現役の労働者の労働時間は長いという事ですね。

また、この調査ではサービス残業も含まれている可能性がありますので、図1の平均労働時間には含まれていない有償労働の時間が計上されている可能性も高いのではないかと思います。
日本では労働者の価値が低いという特徴が考えられます。
つまり、仕事の価値(値付け)が低く、そのため労働者も安く済ませようという考えです。

より長く働くことで年間の付加価値は一定水準に達していますが、時間当たりの労働生産性や平均時給で見ると日本は低い水準であることがそれを裏付けているのではないでしょうか。

経済大国日本の、本来豊かな国民の働き方として、これで良いのでしょうか?

皆さんはどのように考えますか?

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