220 日本の「企業数」の謎に迫る

1. 「会社企業」と「個人企業」という不思議な区分

前回は、日本の小規模企業で働く労働者が本当に多いのか、という点について国内統計データ(経済センサス)と、OECD統計データの双方を見ながら検証してみました。

日本では、10人未満の小規模企業で働く労働者は、そのシェアで見ると先進国では少ない方であることがわかりました。

今回はせっかくですので、「企業数」についても検証していきましょう。

日本の企業は400万社あるとも、200万社程度だとも言われますが、実際にはどのようにカウントされているのでしょうか?

前回と同様に、平成26年経済センサス-基礎調査に、非常に詳しく企業数や労働者数のデータが記載されています。
(ご興味のある方は是非元データをご確認ください)

まず、日本の企業等の区分の仕方には、「会社企業」、「個人企業」、「会社以外の法人」に分かれるようです。

それぞれの定義については、下記の通り経済センサス-基礎調査 用語の解説(https://www.stat.go.jp/data/e-census/2019/yougo.html)より引用します。

企業等:
事業・活動を行う法人(外国の会社を除く。)及び個人経営の事業所をいう。個人経営であって同一の経営者が複数の事業所を経営している場合は、それらはまとめて一つの企業等となる。

会社企業:
経営組織が株式会社、有限会社、相互会社、合名会社、合資会社及び合同会社で、本所と支所を含めた全体をいう。単独事業所の場合は、その事業所だけで会社企業としている。

会社以外の法人:
法人格を有する団体のうち、前述の会社を除く法人をいう。 例えば、独立行政法人、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人、学校法人、医療法人、宗教法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、農(漁)業協同組合、事業協同組合、労働組合(法人格を持つもの)、共済組合、国民健康保険組合、信用金庫、弁護士法人などが含まれる。

「個人企業」については、最新の用語の解説では「個人経営」として扱われているようです。

個人経営:
個人が事業を経営している場合をいう。法人組織になっていなければ、共同経営の場合も個人経営に含める。

今回は平成26年経済センサス-基礎調査のデータ通り「個人企業」という表記とします。

企業常用雇用者規模別 企業等数 2014年

図1 企業常用雇用者規模別 企業等数 2014年
(平成26年経済センサス-基礎調査 より)

図1は規模別の企業等数です。

日本では、企業等は合計410万社ということになります。
日本の企業数のデータで400万社というのは、ここからきているようですね。

個人企業が209万社、会社企業が175万社、会社以外の法人が26万社です。

このうち、個人企業の企業数が最も多いわけですが、特に0~4人規模が圧倒的に多いですね。
いわゆる従業員ゼロの個人事業主も多数含まれると思います。

会社企業としては、株式・有限・相互会社で172.1万社、合名・合資会社で1.6万社、合同会社で1.2万社です。

日本 企業常用雇用者規模別 企業等数
2014年 単位:万社
304.7 0-4人
47.0 5-9人
52.8 10-99人
5.8 100-999人
0.4 1000人以上

日本 区分別 企業等数

図2 日本 区分別 企業等数 2014年
(平成26年経済センサス-基礎調査 より)

図2が産業別の企業等数の分布です。

卸売業・小売業の企業等数が多いのが目につきますね。
卸売業・小売業の約半数が個人企業です。

宿泊業・飲食サービス業や生活関連サービス業・娯楽業はさらに個人企業の割合が大きいようです。

一方、医療・福祉やその他サービス業では、会社以外の法人割合が大きいのも特徴的ですね。

医療・福祉では個人企業も多いようです。
開業医が多いという事なのかもしれませんね。

日本 企業等数 2014年
単位: 万社
90.8 卸売業・小売業
54.7 宿泊業・飲食サービス業
45.6 建設業
41.8 製造業
38.6 生活関連サービス業・娯楽業
32.3 不動産業・物品貸与業
30.1 医療・福祉
25.5 サービス業(他に分類されないもの)
19.6 学術研究・専門・技術サービス業
12.0 教育・学習支援業
7.5 運輸業・郵便業
4.6 情報通信業
3.2 金融業・保険業
2.7 農林漁業
0.6 複合サービス業
0.2 鉱業・採石業・砂利採取業
0.1 電気・ガス・熱供給・水道業

2. 小規模企業の多い産業は?

次に、企業規模別の分布についても見てみましょう。

日本 企業常用雇用者数規模別 企業等数

図3 日本 企業常用雇用者数規模別 企業等数 2014年
(平成26年経済センサス-基礎調査 より)

図3が企業規模別の分布です。

どの産業でも小規模事業者の企業数が多いのがわかります。

医療・福祉では、0~4人規模の割合が比較的小さいですね。

図3だけだと小規模事業者の割合が見えてきませんので、それぞれの産業でのシェアで表現してみましょう。

日本 企業常用雇用者数規模別 企業等数 シェア

図4 日本 企業常用雇用者数規模別 企業等数 シェア 2014年
(平成26年経済センサス-基礎調査 より)

図4が各産業の規模別の企業等数シェアです。

どの産業でも小規模企業の割合が大きいですね。
10人未満の小規模企業のシェアは軒並み70%を超えます。

日本 企業常用雇用者数規模別
企業等数 シェア 2014年
全産業 単位: %
74.3 0-4人
11.5 5-9人
6.8 10-19人
5.9 20-99人
1.0 100-299人
0.3 300-999人
0.1 1000人以上

10人未満の小規模事業者は全体の85.8%、300人未満の中小事業者は99.6%ということになります。

2. OECDのデータでも確認してみよう!

日本の企業数のデータはわかりましたが、果たして日本の中小企業は多いのでしょうか?
前回の労働者数でみた場合は、決して中小企業で働く労働者の割合が大きいわけではないことはわかりました。

下記については、以前記事化している内容も含みますので、こちらもご参照いただければ幸いです。
 参考: 日本の中小企業は本当に多いのか!?

まず、OECDのデータで、各国の中小企業の数を見てみましょう。

中小企業数 2017年

図5 中小企業(SMEs)数 2017年
(OECD統計データ より)

図5は、OECDのデータで、中小企業と定義される従業員数1~249人規模の企業数です。

このデータは、農林水産業、金融・保険業、公務・教育・保健を除いた、一般産業の企業数となります。

経済センサスのデータで、該当する産業の300人未満の企業等数をカウントすると297万社程度ですので、おおむね合致しそうです。

日本は先進国で5番目に中小企業の数が多いようです。

イタリアの中小企業数が多いのが目につきますね。

中小企業数 対人口比 2017年

図6 中小企業数 対人口比 2017年
(OECD統計データ より)

各国で人口が異なりますので、人口当たりにして並べなおしたのが図6です。

日本は100万人あたり、中小企業が2.2万社と、アメリカ、スイスに次いで少ないようです。

中小企業数 対人口(100万人)比
2016年 33か国中 単位:万社
1位 9.5 チェコ
11位 6.1 イタリア
23位 4.1 フランス
27位 3.2 イギリス
28位 3.0 ドイツ
29位 2.3 カナダ
31位 2.2 日本
33位 1.3 アメリカ

当然他国も、該当する一般産業(農林水産業、金融・保険業、公務・教育・保健以外)の企業数と思われますが、仮に日本の全企業数の410万社を人口で割ると3.3万社になるので、それでやっとイギリスやドイツ並みといったあたりですね。

もちろん、各国の基準が厳密には一致していないと思いますので、参考程度に眺めていただければと思います。

中小企業比率 2017年

図7 中小企業比率 2017年
(OECD統計データ より)

図7は、全企業数に対する中小企業の割合です。

いずれの国でも99%以上は中小企業となります。

主要国では、特にイタリアとフランスの割合が大きいですね。
日本は99.6%、アメリカは99.4%です。

今回は、中小企業の数について着目してみました。

前回の労働者数同様、日本の中小企業や小規模企業は殊更多すぎるというわけではなさそうです。

大切なのは、それぞれの企業規模で、適正な付加価値を稼ぎ、消費者でもある労働者への分配も増やしていくことと思います。

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