263 金融資産・負債比較 家計編

1. 家計の金融資産・負債残高

前回はG7各国の金融機関について、金融資産・負債残高をご紹介しました。
基本的には各国とも金融資産と負債が同程度で拡大していて、正味の純金融資産はほぼゼロで推移しています。
日本は金融資産のうち貸出(他者の借入)が長期にわたって目減りしていた状況も確認できました。

これまで各国、各経済主体の金融資産・負債残高の推移について、各国通貨でのデータを眺めてきました。
ただ、その水準についてはいまいち掴めないと思いますので、今回からは水準を合わせて各国比較をしてみたいと思います。

ある経済指標についての国際比較をする場合は、何かしら単位を合わせる必要があります。
主要な比較方法として1人あたりのドル換算値と、対GDP比の方法がありますので、今回はこれらの数値で比較してみましょう。

日本経済のピークだった1997年と、直近の2021年のデータを見比べてその変化にも着目してみたいと思います。

今回はまずは家計についてです。

金融資産・負債残高 1人あたり 家計 2021年

図1 金融資産・負債残高 1人あたり 家計 2021年
(OECD統計データ より)

図1が2021年の家計の金融資産・負債残高 人口1人あたりドル換算値の比較です。
金融資産をプラス側、負債をマイナス側で表現しています。
正味の純金融資産(金融資産・負債差額)が黒い丸です。

金融資産も純金融資産も、アメリカが圧倒的に多く他国を大きく引き離しています。
日本はG7で3番目に家計の純金融資産が多い国です。

金融資産の構成を見ると、日本は現金・預金が多く、他国の倍程度の水準となります。
一方、株式等はG7中で最も少ない水準です。

アメリカ、カナダは株式の水準が極めて高いですね。

イギリスは年金・保険の水準が高いのが特徴的です。

日本はG7の中では1人あたりGDPや給与水準がイタリアに次いで低い国ですが、純金融資産では3番目に多い国ですね。
何度か触れてきましたが、日本の金融資産の多くは高齢層に偏っていて、高齢者が現役世代から蓄積した金融資産が多い事が大きいようです。

2. 1997年の比較

金融資産・負債残高 1人あたり 家計 1997年

図2 金融資産・負債残高 1人あたり 家計 1997年
(OECD統計データ より)

図2が1997年のデータです。

2021年に比べて日本の水準が高かったこともあり、アメリカの圧倒感は抑え気味ですね。

当時日本はアメリカに次いで金融資産、純金融資産が多い国だったようです。
純金融資産はドイツの3倍程度、フランスの2倍以上です。

金融資産の中でも特に現金・預金はアメリカの4倍以上、その他の主要国に対しても3倍程度の圧倒的な水準です。
当時から株式等は低水準だったようですね。

負債もG7中で最も多かったようです。

また、イギリスも当時は存在感が大きかったことがわかりますね。
特に年金・保険は日本の1.5倍ほどの規模だったようです。

家計の純金融資産は、日本はかつて非常に高い水準でこの25年ほどでも増えてはいますが、他国の方が増え方が大きく、相対的な水準は低下していることになります。
現金・預金の割合が高い特徴がありますが、かつてのような圧倒感は薄れています。

家計 純金融資産 1人あたり
1997年→2021年 単位:$
68,621 → 120,961 日本
81,933 → 299,678 アメリカ
22,964 → 82,115 ドイツ
52,687 → 118,619 イギリス
30,909 → 81,113 フランス
40,497 → 143,195 カナダ
39,205 → 85,095 イタリア

3. 対GDP比での比較

続いて対GDP比についても比較してみましょう。

金融資産・負債残高 対GDP 家計 2021年
金融資産・負債残高 対GDP比 家計 1997年

図3 金融資産・負債残高 対GDP比 家計 2021年・1997年
(OECD統計データ より)

図3が家計の金融資産・負債残高 対GDP比のグラフです。
2021年(左)と1997年(右)です。

1人あたりのドル換算値が単純に金額を比較するのに対して、対GDP比はフローであるGDPに対するストックの水準を知ることができます。
1人あたりの数値とは意味合いが異なりますので注意が必要ですね。

各国とも1997年の水準に対して、2021年では数値が大きくなっています。
フローに対してストックの規模が大きくなっている状況ですね。

ドイツだけ負債の水準が低下しているのが興味深いです。

日本は対GDP比で3倍近くの純金融資産を家計が保有していることになります。
また、1997年の数値を見ると、1人あたりと比べて日本の存在感が突出してなく、イギリスやカナダとそん色ないレベルという事がわかります。
当時の日本のGDPがそれだけ相対的に大きかった事を窺わせます。

また、ドイツ、フランスとアメリカ、カナダ、イギリスで水準に大きな開きがありますね。
この2つのグループは様々な面で対照的な傾向ですが、家計の金融資産でも確認できます。

家計 純金融資産 対GDP比
1997年→2021年 単位:%
192 → 307 日本
261 → 427 アメリカ
85 → 160 ドイツ
197 → 256 イギリス
128 → 187 フランス
185 → 274 カナダ
180 → 239 イタリア

4. 家計の金融資産・負債の特徴

今回は家計の金融資産・負債残高について、G7での国際比較をしてみました。

日本はかつてアメリカに次いで家計の金融資産、純金融資産が多い国でしたが、その後停滞が続いたこともあり、相対的な存在感が薄れています。

それでも過去に蓄積した金融資産が多く、特に現金・預金は現在もG7中で圧倒的な規模です。
過去の蓄積によってまだ高い水準が維持されているだけに過ぎないという見方にもなるのかもしれません。
フロー面で唯一停滞が続いていますので、この傾向が続けば今後もさらに立ち位置が低下していく事も想定されますね。

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