051 日本の繁栄度 - 経済水準・社会資本・自由

国連の幸福度調査では順位の低い日本の評価ですが、別な組織による繫栄度調査の結果についても調査してみました。日本の課題は共通しているようです。

1. 繁栄度とは

前回は、国連のWorld Happiness Reportから、国民の幸福度について取り上げてみました。
日本は156の国と地域のうち、幸福度が58位と残念な順位であることが分かりました。
この調査によると寛容さ、個人の自由度、ポジティブ感情の水準が低いことが分かりました。
いち日本人として悔しいので、もう少し良い調査結果が無いか探してみました。

ちょっと視点は変わりますが、イギリスのLegatum Instituteというシンクタンクが調査した繁栄度(又は幸福度、Prosperity Index)についての結果を見つけましたのでご紹介します。
 参考URL: Legatum Institute - Prosperity Index

繁栄度とは、経済水準や社会資本、自由、教育など9つの評価項目を総合した、各国の繁栄の度合いを数値化した指標になります。

表1 繁栄度 2017年

繁栄度 2017年

表1に繁栄度の順位表を示します。
数字はそれぞれの項目の順位を表します。

149の国と地域のうち、日本は総合で23位という結果でした。
イタリア以外の他の主要先進国には及ばないながらも、アメリカやフランスとは比較的近い順位です。

国連のWorld Happiness Reportより良い評価と言えそうです。

2. 繁栄度の項目

それぞれの項目(Pillar)は次のような意味となります。

経済レベル(The Economic Quality)
市場の開放性、マクロ経済の指標、成長基盤、ビジネスチャンス、金融セクターの効率

事業環境 (The Business Environment)
起業環境、起業基盤、イノベーションへの障壁、労働マーケットの流動性

政府統制 (The Governance)
効果的な政府統制、民主的な意思決定、法規範

個人の自由 (The Personal Freedom)
基本的人権、個人の自由、社会的寛容

社会資本 (Social Capital)
人的関係の強さ、社会的支援、社会規範、市民参加

安全保障 (The Safety & Security)
国家の安全保障、個人の安全

教育 (The Education)
教育への権利、教育の質、人的資本

健康 (The Health)
身体的健康、精神的健康、保健インフラ、予防治療

自然環境 (The Natural Environment)
自然環境の質、環境保護運動

3. 日本の繁栄度の特徴

各指標の日本の順位は、149の国と地域のうち以下の通りです。

経済レベル: 23位
事業環境: 22位
政府統制: 18位
個人の自由: 46位
社会資本: 101位
安全保障: 4位
教育: 18位
健康: 4位
自然環境: 46位

全体的にそこそこの順位が多いですが、個人の自由、自然環境が40位台と低めです。
安全保障、健康が4位と高い水準を誇りますが、何よりも、社会資本が101位と断トツで低い水準です。
市民参加も含まれていますので、おそらく投票率の低さ等が大きく影響していると思われます。

その他、人的関係の強さ、社会的支援など、国連のWorld Happiness Reportの寛容さと通じる項目ですね。
World Happiness Reportでも寛容さは、極めて低い水準でした。
まず投票率ですが、以前の記事でご紹介したバブルチャートを見てみましょう。
 参考記事: お金以外の豊かさとは!?政治参加編

政治への関与度合い 投票率 2017年

図1 政治への関与度合-投票率
(OECD統計データより)

図1はOECD政治への関与度合投票率の相関を示すバブルチャートです。
バルーンの大きさが人口を表します。
日本はOECDの中でも極めて投票率の水準が低い結果となっています。
この調査結果から日本人は、政治的な関心が低く、相互の寛容性や関わりのレベルが低いという結果が分かりました。
(少なくとも海外からの目で見た場合)

このような国民としての資質についての評価が低いことは非常に残念な事ですが、政治に関心が無く、思いやりや他者への関心が希薄になっていると指摘されれば、確かに認めざるを得ない部分もあるかもしれません。

また、Legatum Instituteの過去のレポートでは、日本は物質的豊かさはそれなりに高い水準(50か国中14位)ですが、生活満足度が低い(50か国中42位!)という結果になっています。
日本人の心のゆとりが無くなってきているのかもしれませんね。

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