034 日本人にとって満足な生活とは? - 食・住と自己啓発・余暇時間
比較的日本人は生活満足度が高いようですが、具体的に食、住や自己啓発についての満足度について統計データを確認してみます。
1. 食生活についての満足度
前回は、私達日本人がどのような事に満足感を覚えるのか、世論調査の結果から、生活の向上感、所得等のお金に関することやモノの購入への満足度について見てみました。
今回も引き続き、残りの詳細指標について見ていきたいと思います。
それぞれの指標で開始年が異なりますので、ご注意ください。
図1 現在の生活の各面での満足度 食生活
(国民生活に関する世論調査 より)
まず、図1に食生活に関する満足度を示します。
赤いラインが「満足」(「満足している」と「まあ満足しているの合計」)、青いラインが「不満」(「不満だ」と「やや不満だ」の合計)を示します。
緑のラインが「満足」と「不満」の差(DI)です。
DIがプラスだと「満足」と感じる人が「不満」と感じる人よりも多いという事を意味します。
この食生活に関する満足度は顕著に「満足」の割合が高いですね。
しかも年々「満足」が増えていき、「不満」が減っており、DIも非常に高い水準でプラスです。
総合満足度の水準を大きく引き上げている事がわかります。
年齢別に見ると、「満足」の割合は18~29歳で高くなっているようです。
性・年齢別に見ると、「満足」の割合は女性の18~29歳で、「不満」の割合は男性の70歳以上で、それぞれ高くなっているようです。
従業上の地位別に見ると、「不満」の割合はその他の無職で高くなっています。
若い層で特に満足感が高く、高齢や無職の人では不満が多いという結果のようです。
2. 住生活についての満足度
続いて、住生活についての満足度です。
図2 現在の生活の各面での満足度 住生活
(国民生活に関する世論調査 より)
図2には住生活に関する満足度を示します。
こちらも極めて高い水準で「満足」が多いですね。
「不満」は1992年では30%程ですが、直近では20%未満に下がっています。
DIはプラス70近くと、極めて高い水準ですね。
年齢別に見ると、「満足」の割合は18~29歳、70歳以上で、「不満」の割合は50歳代で、高くなっているようです。
性・年齢別に見ると、「満足」の割合は男性の70歳以上、女性の18~29歳で、「不満」の割合は女性の50歳代で、それぞれ高くなっているそうです。
従業上の地位別に見ると、「不満」の割合は雇用者で高くなっているそうです。
就労している人は比較的不満と感じやすいようですが、それ以外の人にとっては住環境に満足している人が極めて多いという事ですね。
3. 自己啓発・能力向上についての満足度
生活満足度の中には、自己啓発・能力向上についての満足度も集計されています。
図3 現在の生活の各面での満足度 自己啓発・能力向上
(国民生活に関する世論調査 より)
図3は、自己啓発や能力向上についての満足度です。
こちらも比較的満足度の高い指標と言えそうです。
DIは常にプラスで年々高まっていますね。
例えば24時間利用できるフィットネスや、インターネットを通じた自己啓発など、手軽に自己啓発や能力向上を行えるサービスが増えているのが大きいのかもしれません。
また、労働時間が減ってきている事からも、余暇時間の有効な使い方として自己啓発や能力向上への関心が高まっているのかもしれませんね。
性別に見ると、「満足」の割合は男性で高くなっているそうです。
年齢別に見ると、「満足」の割合は18~29歳、30歳代で、「不満」の割合は50歳代で、それぞれ高くなっているようです。
性・年齢別に見ると、「満足」の割合は男性の18~29歳、60歳代、女性の18~29歳、40歳代で、「不満」の割合は男性の40歳代、女性の50歳代、60歳代で、それぞれ高くなっているようです。
従業上の地位別に見ると、「満足」の割合は雇用者、自営業主で高くなっているようです。
職業別に見ると、「満足」の割合は管理・専門技術・事務職で高くなっているようです。
比較的時間とお金を自由に使える層で、この満足度が高い傾向にありそうです。
4. 余暇生活についての満足度
仕事や勉強以外の余暇生活についての満足度についても見てみましょう。
図4 現在の生活の各面での満足度 レジャー・余暇生活
(国民生活に関する世論調査 より)
図4は余暇生活に関する満足度です。
こちらも比較的満足度の水準の高い指標と言えそうです。
近年で「満足」がやや増加傾向、「不満」がやや減少傾向で、
DIが少しずつ高まっているように見えます。
年齢別に見ると、「満足」の割合は18~29歳、30歳代で、「不満」の割合は50歳代で、それぞれ高くなっているそうです。
性・年齢別に見ると、「満足」の割合は男性の18~29歳、女性の18~29歳、30歳代で、「不満」の割合は男性の40歳代、女性の50歳代で、それぞれ高くなっているようです。
職業別に見ると、「満足」の割合は管理・専門技術・事務職で、「不満」の割合は販売・サービス・保安職、農林漁業職で、それぞれ高くなっているようです。
年齢層が低い方が満足度が高い傾向という事ですね。
特にレジャーでは近年多様化が進んでいますので、自分の好みに合った過ごし方をしやすいという事が満足度の向上に寄与しているのでしょうか。
また、スマートフォンでSNSやゲーム、ショッピングが気軽に行えるようになってきたことも大きな要因かもしれませんね。
5. 日本人の生活満足度の特徴
いかがでしょうか、今回は満足度を図る指標の内、食生活、住生活、自己啓発・能力向上、レジャー・余暇生活について取り上げました。
1 所得・収入 「不満」が大きく、DIもマイナス傾向
2 資産・貯蓄 「不満」が大きく、DIもマイナス
3 耐久消費財 「満足」が極めて大きく、DIが大きなプラス(総合以上)
4 食生活 「満足」が極めて大きく、DIが大きなプラス(総合以上)
5 住生活 「満足」が極めて大きく、DIが大きなプラス(総合以上)
6 自己啓発・能力向上 「満足」が大きく、DIがプラス
7 レジャー・余暇生活 「満足」が大きく、DIがプラス
「満足度」を構成する7つの指標をまとめると、概ね以上のような結果です。
金銭面では不満が大きいながらも、生活環境そのものには大きな満足感があり、生活の質についても満足感が大きいという事でしょうか。
もちろん、前回指摘した通り、世論調査の調査対象は、①高齢層が多い、②比較的裕福な層が多い、③単身者が少ないという点を前提に考える必要があります。
「そんなことはない!」と思う方も多いのではないかと思います。
本当にこの世論調査が、満遍なく調査対象を抽出し、国民の総合的な統計調査としての性格を有しているのかは、疑問の残るところです。
この世論調査の結果が政治や行政の様々な判断に使用されているのでしょうから、政治家の方たちが「国民は満足している」などと、私たちの多くの感覚と異なる話をしているのにも頷ける気がします。
世論調査では、満足度以外にも面白い指標をいくつか調査していますので、次回以降で取り上げたいと思います。
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