012 お金以外の豊かさとは!? 雇用環境編
OECDのWell-beingのうち雇用環境についての国際比較により、日本の立ち位置を確認してみます。
1. 就業率の国際比較
前回は労働時間についてフォーカスしてみました。
収入が高くても、職に就けなかったり、すぐに解雇されたりすれば、安心した生活は送れませんよね。
今回は、Well-beingのうち、就業率や長期失業率などの雇用環境について取り上げてみたいと思います。
バブルチャートによる国際比較によって、日本の立ち位置を確認していきましょう。
図1 平均給与-雇用率
(OECD統計データより)
まず、図1に就業率(Employment rates)について示しました。
就業率は、15~64才の人口に対する労働者の割合となります。
平均給与に対して、緩やかな正の相関が認められると思います。
給与水準の割りにメキシコ(61)がやや高め、アメリカ(69)、ルクセンブルク(66)がやや低めに位置していますね。
日本(74)は平均給与の割りには高めの水準となります。
比較的、就労を望む人が職を得やすい環境である事が示されているのではないでしょうか。
2. 雇用の安定性の国際比較
OECDのWell-beingでは、雇用の安定性を測る指標として、労働市場の不安定さが公表されています。
図2 平均給与-労働市場の不安定さ
(OECD統計データ より)
図2には労働市場の不安定さ(原文は、Labour market insecurity)を示します。
この指標は、失業による所得喪失期間と前職の就労期間との割合と定義されます。
この指標が高いほど、失業の可能性が高く、就労状態の見通しが不安定であることを示します。
ギリシャ(17.4)、スペイン(17.3)、トルコ(13.0)はかなり突出した数値です。
一方で日本(1.5)はデータのある中で最低値となっています。
日本は、失業の可能性が低く、安心して仕事ができる環境と言えそうです。
3. 長期失業率の国際比較
次に長期失業率の国際比較をしてみましょう。
図3 平均給与-長期失業率
(OECD統計データ より)
図3は長期失業率(Long-term unemployment)を示します。
長期失業率は、労働人口に対して、1年以上の長期にわたって失業中の人の割合を示します。
この割合が大きいと長期間にわたり失業している人の割合が大きく、一度失業すると就労復帰するのが難しいと言えます。
逆に、小さいと失業率が小さいもしくは、失業しても短期で別の仕事に就ける事を示します。
ギリシャ(17.0)、スペイン(9.5)、イタリア(6.8)、ポルトガル(6.1)などがかなり大きな数値です。
フランス(4.3)やベルギー(4.0)も比較的大きな数値となっています。
逆に、メキシコ(0.08)、韓国(0.03)、アメリカ(0.65)は非常に低い数値です。
日本(1.2)、イギリス(1.3)、ドイツ(1.7)、カナダ(0.8)はかなり低い水準に位置します。
4. 日本の雇用環境の特徴
今回は、OECDのWell-beingのうち、雇用環境の国際比較をしてみました。
労働市場において安定した就労状態を維持する、という事について日本は次の事が言えそうです。
(1) 比較的高い就業率に達していて、就労を望む人が職を得やすい
(2) 失業の可能性が低く、安心して長期間働ける環境がある
(3) 失業したとしても、比較的すぐに他の職に就く事ができる
労働者にとっての安定した雇用環境という面では日本はOECD各国の中でも、かなり高い水準にあると言えるのではなないでしょうか。
一方で、その労働の対価はやや低い状況です。
雇用環境を維持しながら、所得が向上していくと良いですね。
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<ブログご利用の注意点>
・本ブログに用いられる統計データは政府やOECDなどの公的機関の公表しているデータを基にしています。
・統計データの整理には細心の注意を払っていますが、不整合やデータ違いなどの不具合が含まれる可能性がございます。
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