172 日本人の投票率 - 年齢階層別の投票率と投票人数シェア

日本は投票率の低い国として知られていますが、年齢階級別に見た投票率と、人口分布から実際に投票をした投票人数を推定してみます。

1. 年齢階級別の投票率

前回は、日本企業の株式の主体別保有金額についてご紹介しました。
企業、家計、政府、金融機関の国内主体はアップダウンがあるものの、バブル崩壊時からは停滞していますが、外国だけ右肩上がりで増大しています。
今や外国は日本の上場企業の約30%の株式を保有し、金融機関と並んで最大の株主である事になります。

今回は、少し目線を変えて選挙の投票率について着目してみます。

日本人は政治に関心がないと言われていますが、本当にそうでしょうか？
実際に統計データから確認していきたいと思います。

図1 日本 衆議院総選挙 投票率
(総務省 衆議院総選挙における年代別投票率の推移 より)

図1が衆議院総選挙における、年代別の投票率です。

1990年ころから全体的にやや減少傾向であるのが印象的ですね。
特に20代は1967年には67%だったのが、直近では34%と半減しています。
近年では20代の3人に1人程度しか投票していない事になります。

直近の2018年の数値では全体で53%、20代で34%、30代で45%、40代で54%、50代で64%、 60代で72%、 70代で61%といった具合です。
20代と60代には倍以上の投票率の違いがあるようです。

1990年のバブル崩壊直後でどの年代も急激に投票率が落ちているようです。
2009年の民主党へ政権交代した選挙の時に大きく投票率が上がっているというのは興味深いです。

2012年の自民党に政権交代した選挙の時には、また投票率が下がっています。

2. 年齢階級別の人口分布

日本は、少子高齢化が進み、若年層よりも高齢層の方が増えていますね。
各世代でどれだけの人口なのか確認してみましょう。

図2 日本 年代別 人口
(総務省 人口推計 より)

図2が、衆議院選挙のあったそれぞれの年の20歳以上の年齢階級別人口のグラフです。
40代までの人数が横ばい傾向なのに対して、60代、70代以上が急激に増加している事がわかります。

20代は1996年を機に、30代は2003年を機に減少が続いています。

日本では特に投票率の高い60代、70代以上の人口が急激に増えているという特徴があります。

3. 年齢階級別の投票人数

投票率は高齢層ほど高く、年代別人口も高齢層ほど増加しています。
それでは、実際に投票した人の人数はどのような状況になるでしょうか？

図1の投票率と、図2の年代別人口をかける事で、年代別の投票人数を推定する事ができます。

投票人数 = 人口 x 投票率

図3 日本 衆議院選挙 年代別 投票人数 (推定値)

実際に年代別の投票人数を推定したグラフが図3です。

少し見難いですが、20代、30代が大きく減少し、60代、70代以上が大きく増加している状況がわかるのではないでしょうか。
合計すると5,000～7,000万人くらいが選挙に参加していることになりますね。

4. 年齢階級別の投票人数シェア

最後に、年齢階級別の投票人数シェアを可視化してみましょう。

図4 日本 衆議院総選挙 年代別 投票人数シェア

図4が各選挙での、年齢階級別の投票人数のシェアです。

それぞれの総選挙で、どの年代の投票シェアが高いかという事を表します。

20代、30代の若年層のシェアが大きく減少していき、その代わりに60代、70代以上のシェアが大きく増大しています。
少子高齢化と投票率の偏りから、実際の選挙の世代ごとの影響力がこれほどに変化している事になりますね。

20代、30代を若年層、40代、50代を中年層、60代、70歳以上を高齢層とすると、各年齢層のシェアは次のように変化しています。

　　　1967年 → 2015年
若年層 50.4% → 19.6%
中年層 35.2% → 33.0%
高齢層 14.4% → 47.4%

選挙に参加している多数派が、若年層から高齢層に完全に入れ替わっているという事が良くわかるのではないでしょうか。
そもそも人数の減っている20代、30代が投票率も減少しているため、選挙の際にはここまで影響力を大きく落としています。

5. 年齢階級別の投票率・投票人数の特徴

今回は、総務省の「衆議院総選挙における年代別投票率の推移」から、選挙の投票率や投票人数についてご紹介しました。
各年齢階級で、徐々に投票率が低下している様子がわかりました。

日本は投票率の低い国としても知られていますが、特に若い世代ほど投票率が低いようです。
しかも少子高齢化が進んでいますので、若い世代ほど人口も少ないことになります。

人口が少なく、投票率も低いわけですから、若い人ほど投票人数が少なく、選挙における影響力がより低下しているという事になります。

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