016 お金以外の豊かさとは!? 政治参加編
OECDのWell-beingのうち政治参加についての国際比較により、日本の立ち位置を確認してみます。
1. 政治への関与度合の国際比較
前回までに、労働時間、平均寿命、教育、自然環境などを取り上げてきましたが、今回は少し目線を変えて、国民の政治参加(Civic Engagement)について取り上げてみたいと思います。
国民である私達が自分たちの生活をより良くしていくために、民主的な手段で実現できる環境が整っているかという視点となります。
私自身も政治については専門外と言いますか、耳の痛い部分もありますが、この機会に向き合ってみたいと思います。
やや直訳的な表現になりますが、ご容赦ください。
(専門の方や英語の得意な方がいらっしゃいましたら、こっそりご指摘いただければ幸いです)
図1 平均給与-政治への関与度合
(OECD統計データ より)
まず、図1ですがOECD各国の政治への関与度合(原文は、Stakeholder Engagement for Development Regulations)のバブルチャートを示します。
横軸が平均給与[ドル]、縦軸が政治への関与度合、バブルの大きさが人口となります。
この指標は、法律や規制を定める際の市民参加の傾向を、4つの指標の合計スコアの平均値として表されています。
(1) 民主的な要求に対する手順化された採択方法があるか
(2) 民主的な協議の方法があるか
(3) 協議過程の透明性、開かれた政府であるか
(4) 管理・監視団体や公開情報に関する管理体制があるか
上記の指標はそれぞれ最大スコアが1で、それらを足し合わせた(すなわち最大値は4)指標となっており、この指標が大きいほど、社会システムとして、政治への関与度合が高いと言えます。
メキシコ(3.5)、アメリカ(3.2)、カナダ(3.0)、イギリス(2.9)といった国が高い水準となります。
フランス(2.1)やドイツ(2.1)が平均的な水準です。
日本(1.3)、イタリア(1.5)、スペイン(1.6)がかなり水準が低い事がわかります。
日本よりも数値が低いのは、イスラエル(0.9)、アイルランド(0.8)、ポルトガル(1.2)、ハンガリー(1.2)くらいでしょうか。
つまり、日本は先進国の中で下から5番目の水準という事ですね。
ちなみにOECD以外ですと、ロシアが0.8となります。
(中国はデータ無し)
平均給与との相関は、グラフを見る限りはなさそうです。
2. 投票率の国際比較
つづいて、具体的な政治参加の行動となる選挙における投票についての指標を確認してみましょう。
図2 平均給与-投票率
(OECD統計データ より)
続いて図2は、縦軸に選挙の際の投票率を示しています。
有権者の内で、選挙期間中に投票した人(無効票含む)の割合です。
選挙の方法は国家間や選挙の種類によって異なりますが、この指標は国政選挙や大統領選挙など各国で「最も多い投票者が関わった選挙」を参照しているようです。
国民の政治的な関心を示す指標と言えると思います。
主要国の中でアメリカ(68)、イギリス(69)、ドイツ(72)などはOECDの中でも平均的な数値です。
イタリア(75)やフランス(75)、韓国(77)はやや高い水準でしょうか。
日本(53)は主要国としてはダントツで低水準ですね。
チリ(49)、スロベニア(52)、スイス(49)とあまり変わらないレベルで、下から4番目です。
東欧諸国も低めの水準です。
3. 政治参加の特徴
今回は国民の政治参加に関する国際比較をご紹介しました。
図1と図2を一つのグラフにまとめてみましょう。
図3 政治への関与度合-投票率
(OECD統計データ より)
図3は図2投票率のバブルチャートの横軸を、平均給与から政治への関与度合に変更したものです。
社会システムとして政治参加しやすい仕組みを持っているかという側面(横軸)、と実際に国民が政治参加の意思表示としての行動をとっているかという側面(投票率:縦軸)の分布をみる事ができると思います。
右上に行くほど、両者の度合いが高く、左下に行くほどどちらも低水準である事を示します。
日本は、明らかに左下に属する国で、国民の政治参加が弱いという評価になると思います。
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