063 需要はどこにある!? - 国内需給と海外需給

1. 国内需給とは

前回は、日本銀行の短観データより、各企業規模の業況について取り上げました。
好不況を繰り返しながらも、景気の波を乗り越えてきた日本企業ですが、徐々に大企業と中小企業の格差が開いていく様が可視化されていました。

日銀短観では、業況DIや、以前取り上げた仕入価格DI販売価格DIの他にも様々な統計結果が公表されています。
 参考URL: 短観調査表

せっかくなので、今回からいくつかの指標についてもご紹介していきたいと思います。
まず今回は、製品やサービスの需要供給です。
今までこのブログでも触れてきた通り、日本ではデフレが継続し、なかなか値上げもできず、コストカットのために労働者の低所得化が進むという状況になっていたようです。
特に1998年~2014年頃まではこの傾向が続いていたようにも見えます。

デフレは総需要の不足と説明されます。
今回は供給力に対して需要がどの程度あるのかを可視化する事を試みたいと思います。
日銀短観のうち、国内需給海外需給についての調査項目があります。

国内需給は、次のような設問に対する回答を集計したものになります。

貴業界の国内での製商品・サービス需給

回答は1. 需要超過、2.ほぼ均衡、3.供給超過となっています。
DIは1.需要超過の割合から3.供給超過の割合を引いたものです。
DIがプラスになれば供給よりも需要が多いと考えている企業が上回っている事を示します。

国内需給DI

図1 日本銀行 短観 国内需給DI 予測
(日本銀行 短観データ より)

1991年からのデータです。

大企業中堅企業中小企業の企業規模、製造業非製造業の区分ごとにグラフ化しています。
ごちゃごちゃしてわかりにくいですが、アップダウンのタイミングなどおおよその傾向は一致しているようです。

1991年以降の落ち込みはバブル崩壊、1997年頃の金融危機、2001年頃のITバブル崩壊、2008年頃のリーマンショック、そして2020年コロナショックで落ち込みが大きくなっています。

基本的にはいずれの区分でも0より下(つまりマイナス)で推移しています。
つまり、自分の属する業界では供給超過の状態であると認識している企業が多いという事ですね。

国内需給DI 累積

図2 日本銀行短観 国内需給DI 予測 累積
(日本銀行 短観データ より)

区分ごとの違いを見るために、データを累積してみた結果が図2です。
何度かこのような累積データを取り上げていますが、基本的にはDIを累積してもその数値に意味はありません。
ただ比較対象ごとの傾向を、なんとなく見える化するだけだという事をあらかじめご了承ください。

図2では、やはり企業間での格差が表れていますね。
いずれも常に右肩下がりではありますが、大企業よりも中堅企業、中堅企業よりも中小企業の方が、より需要が少ないと感じているようです。

2. 海外需給とは

それでは、海外での需給はどうでしょうか。

日銀短観では、国内需給DIと同様に、海外需給DIも集計されています。

貴業界の海外での製商品需給

回答は1. 需要超過、2.ほぼ均衡、3.供給超過となっています。
DIは1.需要超過の割合から3.供給超過の割合を引いたものです。
DIがプラスになれば供給よりも需要が多いと考えている企業が上回っている事を示します。

海外需給DI

図3 日本銀行 短観 海外需給DI 予測
(日本銀行 短観データ より)

図3が海外需給のDIをグラフ化したものです。

図1の国内需給と比べてどうでしょうか。
基本的にマイナスの領域で推移しているのは同じですが、
マイナス幅は小さめ、区分によってはたまにプラスに転じている部分もあります。

区分間の差異も小さそうです。

海外需給DI 累積

図4 日本銀行短観 海外需給DI 予測 累積
(日本銀行 短観データ より)

海外需給の累積グラフが図4です。

2004年頃から横ばい、大企業製造業などは上向きになりつつあったタイミングで、リーマンショックに見舞われマイナスが大きくなっている様子が表現されていると思います。

また、2018~2019年でややプラスに転じそうな状況もあったようですが、やはりこのコロナショックでマイナスに転じています。
日銀短観は、やや感覚的な統計結果ではありますが、その分各企業の実感が数値として表れているのだと思います。

基本的には各企業は常に需要よりも供給が多いと考えながらビジネスをしているという事ですね。
国内よりも海外ビジネスの方がややマシではありますが、やはり供給超過であるという認識が強いようです。

その分価格競争となり、値段を上げられない分、コストカットに躍起になるという構図でしょうか。
国内事業だけではなく、海外事業もそのような事業観になっているという事を窺わせます。

3. 国内需給・海外需給の特徴

今回は、日本銀行の短観データのうち、国内需給DIと海外需給DIについてご紹介しました。
国内でも海外でも、相対的に需要が少ない状況が続いているようです。

バブル崩壊やリーマンショック、コロナ禍など、経済危機と言われるイベントの都度、これらの指標も大きく反応している事も確認できます。

需要が少ないのか、供給が多すぎるのか確実なことはわかりませんが、需要と供給のバランスが崩れていて、相対的に需要が少ない状況が続いている事は確かなようです。

皆さんはどのように考えますか?

参考: 最新データ

(2023年11月追記)

国内需給DI 実績

図5 国内需給DI 実績
(日本銀行 短観データより)

図5が最新のデータ(2023年7~9月期)まで含めた国内需給DI 実績の数値です。
中小企業と大企業のみとしています。

2020年にコロナ禍の影響とみられるマイナスが見られますが、その後マイナス幅が大きく縮小していますね。

非製造業は徐々にゼロに近づいていますが、製造業はいったん上がってから2023年から再度マイナスに転じています。

これは当社周辺の実感値とも合致します。

海外需給DI 実績

図6 海外需給DI 実績
(日本銀行 短観データより)

図6が海外需給DIのデータです。

やはりコロナ禍による影響が大きく、その後プラス化していますが、2023年からはまたマイナスとなっています。

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