099 人口とGDP - 少子高齢化は日本だけではない?

日本は少子高齢化が世界に先駆けて進んでいて人口の減っている課題先進国と言われています。東欧諸国などでは、既に人口は激減していますが、GDPは増加しています。

1. 日本の人口とGDP

前回までは、G7各国の人口GDPの関係について見てきました。
各国のGDPはもちろん人口増加とも密接に関わっているわけですが、人口が増えなければ経済成長できないというわけでもなさそうです。

今回は、人口が減りながらも経済成長している国々についてフォーカスしてみましょう。
まずおさらいですが、日本の状況を見てみましょう。

日本 人口・GDP

図1 日本 人口・GDP 推移
(OECD 統計データ より)

図1が人口GDPの推移を一つのグラフにまとめたものです。
人口が左軸、GDP(オレンジ)が右軸になります。
総人口が青、20-64歳の労働世代が水色、20歳未満の若年世代が緑、65歳以上の高齢世代が紫、労働者数が赤です。
日本の場合は2008年をピークに人口が減少に転じています。

労働世代は1998年をピークに減少傾向です。
ただし、高齢世代や女性の労働者が増えたことで、労働者数は横ばいが続いていますね。

2018年の1人あたりGDPは420万円くらいです。

2. ドイツの人口とGDP

工業立国で、少子高齢化の進む先進国という意味では、ドイツは日本とよく似ていると思います。
人口も停滞しているドイツの状況も見てみましょう。

ドイツ 人口・GDP

図2 ドイツ 人口・GDP 推移
(OECD 統計データ より)

図2がドイツのグラフです。

ドイツも2000年頃に人口のピークがあり、一度減少してから増加傾向にあります。
主に移民による増加と考えられますが、それでも総人口は停滞気味です。
GDPは右肩上がりに増加していることが見て取れますね。

1997年からの変化で見ると、人口は1%プラス、GDPは1.7倍です。
消費者物価指数(CPI)は1.35倍ですので、実質でも1.2倍程度の成長と言えます。

2018年の1人あたりGDPは、40,000ユーロほどです。
ユーロ-円の為替が130円/ユーロほどですので、日本円で524万円程ですね。
日本の1.3倍くらいです。

3. リトアニアの人口とGDP

OECD加盟国の中には、他にも人口が減少したり停滞している国がいくつかあるようです。

ラトビア、リトアニア、リトアニア、ハンガリー、ポーランドといったあたりです。

リトアニア 人口・GDP

図3 リトアニア 人口・GDP 推移
(OECD 統計データ より)

図3がリトアニアのグラフです。
日本よりも強烈に人口が減っていることがわかると思います。
若年世代も、労働世代も減少し、労働人口も停滞しています。
日本よりも人口構成としては厳しい状況であると言えそうですね。
それでもGDPは右肩上がりで増加しています。

GDPは1人あたりにするとさらに増加していることになります。
1997年からの変化だと、人口は78%に減少していて、GDPは3.9倍になっています。
CPIは1.7倍程度ですので、実質でも2.3倍程度には経済成長しているわけですね。

猛烈に人口が減少している中で、経済発展している国の一つと言えそうです。
リトアニアの場合は1人当たりGDPは直近(2018年)で16,200ユーロくらいです。

日本円にすると210万円くらいですので日本の約半分です。
経済の水準が異なることは留意しておく必要があると思います。
ラトビアやエストニアもリトアニアとほぼ同じような状況です。

4. ハンガリーの人口とGDP

ハンガリー 人口・GDP

図4 ハンガリー 人口・GDP 推移
(OECD 統計データ より)

図4はハンガリーのグラフです。

ハンガリーは1980年頃から一貫して人口が減少していますね。
GDPは増加を続けています。
1997年からの変化だと、人口は0.94倍、GDPは4.8倍(1人当たりGDPは5.1倍)になっています。

CPIは2.8倍ですので、実質GDPは1.7倍くらいに増加している事になりそうです。
1人あたりGDPは直近で160万円(436万フォリント)くらいです。
総人口はリトアニアが300万人くらい、ハンガリーが1000万人程度ですので、人口規模が日本と大きく違います。

5. ポーランドの人口とGDP

比較的人口の多いポーランドも見てみましょう。

ポーランド 人口・GDP

図5 ポーランド 人口・GDP 推移
(OECD 統計データ より)

図5がポーランドのグラフです。

ポーランドは総人口が4000万人近くで、比較的人口の多い国ですね。
総人口は1990年頃からほぼ横ばいです。

若年人口が減り、高齢人口が増えているので少子高齢化は進んでいるようです。
それでもGDPは右肩上がりに成長していますね。

1997年からの変化だと、人口は1.0倍、GDPは4.1倍(1人当たりGDPも4.1倍)です。
CPIが1.9倍程度になっていますので、実質GDPは2.1倍といったあたりです。
1人あたりGDPは直近で155万円(55,000ズウォティ)くらいですね。

6. 人口とGDPの関係の特徴

今回は、人口が減少したり停滞する国の、人口変化とGDPの関係を可視化してみました。

多く引き合いに出した東欧諸国は旧ソビエト連邦圏が多く、資本主義化による急激な経済成長が続いている国々です。
これらの国々は人口流出も多いながら、大きくGDPが拡大しています。
近年では、東欧諸国の経済水準は日本と遜色ない程度にまで成長していますので、今後の推移に注目したいところです。

日本は人口が減少しながらも、経済が停滞しています。

様々な統計データを見ると、「日本は人口が減るから国内需要が伸びない、だから海外に活路を求めよう」という機運が、自己実現的に国内経済の縮小を加速させているようにも見えます。
また、GDPの停滞を人口の増減とだけ結び付けて短絡的に考える人も多いようです。

何故人口が増えないのか、なぜ人口1人あたりのGDPが増えないのかを、もう少し深く考えてみると良いように思います。
日本は少子高齢化が世界に先駆けて進む課題先進国と言われています。
もちろん、人口減少や少子高齢化が経済活動に与える影響は大きいですね。
一方で、日本経済停滞の全てを人口減少少子高齢化だけのせいにもできない、という事が今回の結果からも言えるのではないでしょうか。

少なくとも1人あたりGDPや給与水準など、1人あたりの水準は向上させていく事ができるように思います。
「人口が減少しながらも、1人1人が豊かに暮らせる国」を実現できる余地は大いにあるのだと思います。

バブル・バブル崩壊の影響が2000年代にある程度解消され、2010年代より様々な経済指標で成長傾向が見られます。
今後、多くの人々がより豊かに暮らせる社会について、改めて考える転換期を迎えているように思います。

皆さんはどのように考えますか?

参考:1人あたりGDP

(2023年12月追記)

最新の2022年の1人あたりGDPを見てみましょう。
ここでは、為替レートに影響を受けない購買力平価による数値をご紹介します。

1人あたりGDP 購買力平価換算

図6 1人あたりGDP 名目 購買力平価換算
(OECD統計データより)

図6が2022年のOECD各国の1人あたりGDPです。

今回ご紹介した中でドイツ、リトアニアは日本より上位です。
ハンガリー、ポーランドも日本とかなり近い水準となっている事がわかりますね。

1人あたりGDP 名目 為替レート換算

図7 1人あたりGDP 名目 為替レート換算
(OECD統計データより)

図7が2022年の1人あたりGDPについて、為替レート換算の比較です。

ドイツは日本より上位となりますが、リトアニア、ハンガリー、ポーランドは日本とまだ差が大きいようです。

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