329 ストックから見る直接投資 - 相手国別残高とシェア

日本の相手国別に見た直接投資残高の変化をご紹介します。アメリカや中国だけでなく、オランダやフランスとの関係も強いようです。

1. 日本の対外直接投資残高:2005年

前回は日本の対外直接投資対内直接投資について相手国別の推移やシェアをご紹介しました。
やはり直接投資についても日本はアメリカとの関係が強いようです。

前回ご紹介したのは、年間の変化(フロー)の数値となります。
直接投資は残高(ストック)でも集計されていますので、今回は相手国別の日本の対外・対内直接投資残高についてご紹介します。

対外直接投資 日本 2005年

図1 対外直接投資 日本 2005年
(日本銀行 対外直接投資残高より)

図1は2005年の相手国別にみた対外直接投資残高です。
国名の横の数値は金額[億円]です。

当時はアメリカへの投資が17兆円で39%を占めていました。
続いてオランダ4.1兆円(9%)、中国2.9兆円(6%)、イギリス2.9兆円(6%)です。

オランダやイギリスへの対外直接投資が多いというのはちょっと意外かもしれませんね。

シンガポール、タイ、オーストラリアなどアジア・大洋州地域の国が多い事も特徴的ですね。

2. 日本の対外直接投資残高:2022年

対外直接投資残高 日本 2022年

図2 対外直接投資残高 日本 2022年
(日本銀行 対外直背投資残高より)

図2が2022年対外直接投資残高です。

上位国の顔ぶれや順位はあまり変わりませんが、各国の金額が大きく拡大している事がわかりますね。

例えばアメリカへの対外直接投資残高は、2005年で17兆円程度でしたが、2022年では90兆円と5倍以上に拡大しています。
オランダや中国、イギリスなどもシェアはそれほど変わりませんが、金額がそれぞれ数倍に膨れ上がっているのがわかりますね。

もちろん、収益の再投資や株式資本の追加等で増えている分もあると思いますが、ストックは時価評価されますので株価の上昇も寄与しているかもしれません。

3. 日本の対内直接投資残高:2005年

続いて、海外から日本への対内直接投資残高についても見てみましょう。

対内直接投資残高 日本 2005年

図3 対内直接投資残高 日本 2005年
(日本銀行 対内直接投資残高 より)

図3が2005年の日本の相手国別にみた対内直接投資残高です。

当時はやはりアメリカの存在感が大きく、5兆円(43%)の規模だったようです。
対外直接投資が17兆円だったのとくらべると、3分の1にも満たない水準です。

続いてオランダ(1.4兆円、12%)、フランス(1.3兆円、11%)、ドイツ(0.7兆円、6%)と欧州諸国が続いています。
また、中国は上位国に入ってきません。

4. 日本の対内直接投資残高:2022年

最後に222年の対内直接投資残高です。

対内直接投資残高 日本 2022年

図4 対内直接投資残高 日本 2022年
(日本銀行 対内直接投資残高 より)

図4が2022年の相手国別にみた対内直接投資残高です。

アメリカが最大の対内直接投資相手国である事に変化はありません。
全体のシェアは28%と、2005年の43%からは大幅に低下しています。
金額を見ると8.3兆円で、2005年で5.1兆円だったことからすると2倍にも満たない程度です。
日本からアメリカへの対外直接投資残高が17兆円から90兆円へと5倍以上に変化しているのとは大きな違いですね。

17年間で上位国の顔ぶれも大きく変化しています。

まず第2位にシンガポール(3.9兆円、13%)が、第3位にフランス(3.0兆円、10%)が続いています。
対内直接投資ではフランスの存在感が大きいのが特徴的ですね。
アジア圏では香港や台湾もシェアが拡大し、中国も上位国に入ってきています。

オランダは残高が若干増えていますが、シェアは低下していますね。
ドイツは残高が減り、シェアも低下しています。

既にシンガポールや香港は日本よりも所得水準の高い国ですし、台湾も近い水準です。
アジア圏でも、日本が逆に投資を受ける立場になりつつある事が窺えますね。

3. 日本の直接投資残高の特徴

今回は、日本の直接投資残高について、相手国別の変化をご紹介しました。

対外直接投資は大幅に拡大していて、相手国の顔ぶれはあまり変わりません。
アメリカ、オランダ、中国、イギリスが上位国となっています。

一方で、対内直接投資はそれほど拡大しておらず、アメリカのシェアは低下しています。
シンガポールや香港、台湾など日本より所得水準が高かったり同等の国のシェアが高まっていて、同じアジア圏からの投資が増えている事が確認できます。

日本は所得水準が停滞し、物価比率も低下が続いていて安い国へと変化しています。

近年円安が進んだこともあり、今後は対内直接投資も増えていくかもしれませんね。

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