077 総貧困化社会へ進む日本!? - 生活保護率と貧困率

日本では生活保護世帯が増えていると言われています。生活保護や貧困率についてご紹介します。

1. 生活保護とは

前回は、男性労働者の少子高齢化と低所得化について確認してみました。
男性はどの企業規模や世代でも、基本的に低所得化が進んでいます。
特にロスジェネ(就職氷河期世代)と言われる40代で顕著なようです。

日本の貧困化とはどのようなモノでしょうか。

統計データとして把握できるものは一つは、生活保護に関する統計が挙げられると思います。
今回のコロナ禍で生活保護の申請が急増しているというニュースも流れていますね。
そもそも日本ではどのような状況なのでしょうか。

生活保護とは、厚生労働省によれば次のような趣旨で実施されているという事です。
「生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。」

詳細は厚生労働省のHPで公開されていますが、国立社会保障・人口問題研究所のHPの方にまとまったデータが公表されていましたので、そちらのデータをご紹介します。

2. 生活保護世帯数と保護率

まずは、生活保護世帯数と保護率の推移から確認してみましょう。

生活保護世帯数 保護率

図1 生活保護世帯数 保護率の推移
(社会保障・人口問題研究所 統計データ より)

図1は生活保護世帯数保護率の推移です。
青が世帯数(左軸)、赤が保護率(右軸)のグラフになっています。

直近の2016年のデータでは、生活保護世帯数(1か月の平均)は164万世帯で、全世帯の3.3%程度となります。

保護率の推移を見ると、1990年頃までは減少していき、1990~1997年頃を底にして急激に増加しています。
生活保護世帯数も、最も少なかった1993年には59万世帯でしたので、20年程で3倍近くに急増したことになります。
2011年頃から横ばいになっています。

やはり1997年が出てきました。
1997年はGDPや平均給与のピークとなり、その後の減少・停滞の起点となった年です。
日本経済にとって1997年はまさに転換点だったと言えますね。

それにしても、家計の資産は増加を続けているのに、その一方で生活保護世帯が急増しているとは驚きです。
全体としては豊かになっているのに、生活に困窮している人も増えているという事は、貧困化と格差の拡大が進んでいると言えそうです。

3. 年齢階級別の生活保護人員数

次にもう少し年齢別の詳細を見てみましょう。

生活保護 被保護人員 年齢階級別

図2 年齢階級別 生活保護 被保護人員の推移
(社会保障・人口問題研究所 統計データ より)

図2が年齢階級別の生活保護被保護人員の推移です。
時系列では2011年までのデータとなっています。

昔は20歳未満が多かったようです。
1990年以降は60歳以上の高齢者が急激に増えています。

家計資産が増えているはずの高齢層で、大きく生活困窮者が増大している状況ですね。
20~50代の現役世代も近年ではそれぞれ増加傾向です。
2008年からの40代、60代の増加数が非常に大きい事も特徴的です。

近年で高齢者が増えているのは高齢化により絶対数が増加していることと、高齢者の単身世帯が増加している事も影響していると思います。

4. 年齢階級別の生活保護率

生活保護率 年齢階級別

図3 年齢階級別 生活保護率の推移
(社会保障・人口問題研究所 統計データ より)

図3は各世代に占める生活保護被保護者割合の推移です。

時代ごとに年齢構成が変わるので、図2よりもこちらの方が全体に占める割合を把握しやすいのではないでしょうか。

やはり1990年代後半から、全ての年代で保護率が上昇していることが見て取れます。
特に60歳以上の高齢層で保護率が高く、増加率も大きいことが特徴的です。

2008年(リーマンショック)以降で各年代で急激に保護率も増加していますね。
40代、50代、60代で顕著です。
この世代はリストラの対象になることも多く、特に現在の40代はいわゆるロスジェネ世代ですね。
20代、30代はまだ増加率も低く済んでいそうです。

あらゆる世代で保護率が上昇しているという事は、全体的に貧困化が進んでいる事を意味すると思います。

5. 日本の生活保護の特徴

資産分布を見ると高齢者ばかりが豊かになった印象もありましたが、生活保護の人数を見ると必ずしも高齢者全体が豊かになっているとは言い切れないようです。

確かに若年層と比べれば資産的に豊かな人も多いけれど、生活に困窮している人も増えているという事が言えそうですね。
特に、高齢層は単身世帯や、夫婦だけの世帯が増えています。
そのような世帯で生活保護受給者が増えているのも特徴的です。

また、高齢世代だけでなく、現役世代でも生活保護を受ける人が増加しています。
1990年代以降、徐々に増加している傾向が確認できますね。

労働者の平均給与が減少に転じるタイミングとも一致します。

生活に困窮する現役世代が増えているのも大きな課題ではないでしょうか。

また、日本では生活保護を受給できるはずなのに、受給できていないという補足率が20%程度で、他国と比べて極端に低いという指摘もあるようです。
生活保護を受給する人に対する偏見や、受給する人自身が窮屈な思いをするという心理的な課題もありそうです。

困窮する人がそもそも減っていく事が重要と思いますが、それでも生活が困難な人が当たり前のように保護を受けられるように仕組みや意識の変化が進むと良いように思います。

皆さんはどのように考えますか?

参考:日本の貧困率と貧困ギャップ

日本は先進国の中でも貧困率が高い事でも知られています。

税や社会保障制度により、格差や貧困を低減する事が図られているようですが、これらの再分配後の貧困率が高いという事のようです。

貧困率 再分配後 2018年

図4 貧困率 再分配後 2018年
(OECD統計データより)

図4はOECD各国の再分配後の貧困率を比較したものです。
数値が高いほどど、相対的に貧困状態の人の割合が高い事になります。

日本は0.157でOECD37か国中9位、G7で2位と貧困率が高い国となります。

失業率が高いと言われるフランスが、かなり低い水準なのも特徴的です。

貧困ギャップ 2018年

図5 貧困ギャップ 2018年
(OECD統計データより)

図5は「貧困の深さ」を表すとされる貧困ギャップの比較です。
貧困率は貧困状態の人の割合を表しますが、貧困ギャップは貧困状態の人の困窮具合を表現しています。
貧困線と言われる所得中央値に対して、貧困の人の平均所得がどれだけ離れているかを示しています。

日本はOECD37か国中6位、G7で4位で、OECD平均値を上回ります。
日本は貧困ギャップも高い国となり、困窮する人の割合が高く、その程度も深い状況にあるようです。

貧困率 再分配後 18~65歳 2018年

図6 貧困率 再分配後 18~65歳 2018年
(OECD統計データより)

図6は18~65歳の現役世代についての貧困率です。
現役世代だけ抜き出しても日本はかなり貧困率の高い国であることがわかります。

所得水準が近く、高齢化も進んでいるフランスは先進国の中でもかなり低い水準であるのが対照的で興味深いです。

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