015 お金以外の豊かさとは!? 自然環境編

OECDのWell-beingのうち大気汚染や水質といった自然環境に関する国際比較により、日本の立ち位置を確認してみます。

1. 大気汚染の国際比較

前回は、国民生活を送るうえでの安心や安全という面について考えてみました。
今回は、生活するにあたっての自然環境の良さについて焦点を当ててみたいと思います。

価値観はもちろん人それぞれですが、やはり豊かな暮らしを送る上で、「空気がきれい」「水がきれい」など、自分たちの暮らしている地域の、自然環境の良さというのも大変重要な要素ではないでしょうか。

環境の良さを表す指標もたくさんありますが、OECDには大気汚染水質という統計結果がありましたので、この2つを取り上げてみたいと思います。

平均給与 大気汚染 2017年

図1 平均給与-大気汚染度
(OECD統計データ より)

まず、図1に大気汚染のバブルチャートを示しました。
横軸が平均給与[ドル]、縦軸が大気汚染度[μm/m3]、バブルの大きさがそれぞれの国の人口を表します。

大気汚染(原文はAir Pollution)は、大気中に散らばる2.5μm未満の粒子(いわゆるPM2.5)について、人口に対して重みづけされた年間平均値となります。
この数値が大きい方が、大気汚染の度合いが大きいことを示します。

緩やかですが、平均給与に対して負の相関(横軸が右に行くにつれて縦軸が下に下がる)がありそうです。
日本はOECDの平均値より少し大きい値(14)で、数字の小さい国(汚染度が少ない国)から数えて35か国中18番目の水準です。
ドイツ(14)やフランス(13)と同じくらいの水準ですね。

ダントツで数値が大きいのは韓国(28)です。
国土面積が比較的小さく、工業立国であるが故でしょうか。

2. 水質の国際比較

続いて、水質に関する国際比較をしてみましょう。

平均給与 水質 2017年

図2 平均給与-水質
(OECD統計データ より)

続いて、図2は水質(Water Quality)のバブルチャートになります。
横軸に平均給与[ドル]、縦軸に水質[%]を示します。

この指標は、「あなたの住む町や地域で、水質について満足しているか」という質問に対して、「満足」と答えた人の割合となります。
もちろん、人それぞれの主観や、国ごとの考え方、国民性などにもよりますので、必ずしも画一的に扱えるような結果とは言えません。
ここでは、ある程度の傾向を見る程度にとらえておきましょう。

統計結果については、平均給与に対して、正の相関を確認できると思います。
アメリカが給与水準の割りにはやや低い数値となっている点が印象的です。

日本(86)は、G7の平均値よりも少し高く、フランス(82)やアメリカ(84)よりも高い水準で、35か国中16番目です。
ドイツ(93)、カナダ(92)はかなり高い数値ですね。

さらに、自然環境に恵まれる北欧諸国やオーストラリアは高い水準です。
これらの数値はあくまでも平均値となりますので、都市部と郊外との相違がどの程度なのかなど、本来は考慮すべき点は多いと思います。

日本は飲料に適した水がどこでも手に入り、かなり高い水準だと思ったのですが、OECDの評価としてはそれほどではないようです。

3. 自然環境の特徴

今回は、大気汚染と水質という生活に大きな影響を与える代表的な自然環境に関する指標の国際比較をご紹介しました。

これらは平均給与との相関から、給与水準が高い→工業よりもサービス業等に経済がシフトして環境に負荷のかかりにくい社会システムになっている、などの考察も可能かもしれません。

工業立国と言われる事も多い日本ですが、給与水準としても、自然環境という視点からも、先進国の中では中程度のようです。

日本は今後どのような社会を指向するのかを考えさせる象徴的な統計結果となっているのではないでしょうか。

皆さんはどのように考えますか?

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