050 日本人は幸福か!? - 幸福度と寛容さの国際比較
国際連合の公表する幸福度調査を基に、日本人の幸福度や寛容さについて国際比較してみます。
1. 幸福度とは
前回までは、日本の自動車産業の変化についてご紹介しました。
国内では縮小しつつも、海外事業を合わせて利益が増える構造へと転換が進んでいるようです。
私たち日本人は一時期よりも低所得化しているわけですが、それでも生活に対する満足感は決して低くないという不思議な状況です。
参考記事: 株価と豊かさ
私たち日本人は、幸福と言える状況なのでしょうか。
今回は、国連で公表しているWorld Happiness Reportから、日本人の幸福度について取り上げてみたいと思います。
参考URL: World Happiness Report
Wikipediaによれば、World Happiness Reportについては、次のように説明されています。(Wikipediaより抜粋)
「国際連合の持続可能開発ソリューションネットワークが発行する、幸福度調査のレポートであるこの調査における幸福度とは、自分の幸福度が0から10のどの段階にあるかを答える世論調査によって得られた数値の平均値であり、主観的な値である。報告においては、この幸福度を、GDPや健康寿命を含む6つの説明変数を用いて回帰分析し、各説明変数の寄与を求めて分析している。」
GDPなどの経済面だけでなく、定性的な評価項目も合わせて、各国の国民の幸福の度合いを数値化したものと捉えれば良いようです。
2. 幸福度の国際比較
World Happiness Rewportで公開されている幸福度について、数値を整理しまとめてみたのでご紹介します。
以下の表は、各国の幸福度を順位の高い順に並べて表記しています。
各項目の数値は、項目ごとの順位を表します。
表1 幸福度 World Happiness Report 2019
表1が直近の2019年の幸福度に関する順位となります。
上位20国と、OECDの主要な国、BRICsだけ抜き出したリストになっています。
156の国と地域のうち、日本は58位というかなり残念な結果のようです。
アメリカやドイツなど主要先進国はほとんど20位以内に入るのに対して、G7で最下位、OECDでもトルコやギリシャ等よりは高い順位ですが下から5番目、韓国やBRICsのブラジルよりも低い順位です。
2013年の時点では、日本は156の国と地域の中で43位でした。
年々順位を下げ、2019年度では58位という結果となったようです。
3. 幸福度の評価項目
幸福度を構成する要素の意味について、評価項目の内容を細かく見ていきましょう。
World Happiness Reportでは、表の通りいくつかの項目について評価しています。
1. ポジティブさ(Positive Affect)
幸福や楽しみを図る評価基準。
「昨日多く感じた感情は何ですか?」といった質問に関するポジティブな回答を数値化したもの。
2. ネガティブさ(Negative Affect)
ポジティブ感情と同様な質問に対して、悲しみ、心配、怒りなどのネガティブな回答を数値化したもの。
3. 社会支援 (Social Support)
「あなたがトラブルに見舞われた際に、助けてくれる知人や友人がいますか?」といった社会的な支援に関する質問に対しての回答を数値化したもの。
4. 自由度 (Freedom to make life choices)
「あなたの人生における選択の自由について満足していますか?」といった人生の選択の自由に関する質問に対しての回答を数値化したもの。
5. 汚職・腐敗 (Perception of Corruption)
「政府の至る所で汚職や腐敗は広がっていますか?」、「ビジネス内での汚職は広がっていますか?」といった汚職や腐敗に関する質問に対しての回答を数値化したもの。
6. 寛容さ (Generosity)
「あなたは先月慈善活動などに寄付をしましたか?」といった寛容さに関する質問に対しての回答を数値化したもの。
7. 1人あたりGDP (GDP per capita)
購買力平価調整済み(2011年基準)の1人あたりGDPの順位。
8. 健康寿命 (Healthy Life Expectancy)
健康寿命の順位。
4. 日本人の幸福度の評価
各項目の日本の順位は、次の通りです
1. ポジティブさ 73位
2. ネガティブさ 14位
3. 社会的支援 50位
4. 自由度 64位
5. 汚職・腐敗 39位
6. 寛容さ 92位
7. 1人当たりGDP 24位
8. 健康寿命 2位
上位国が軒並み低い順位なので、おそらくネガティブ感情は、順位が高いほどネガティブな感情が少ない、という事かと思います。
日本人は、ポジティブな感情が少なく、ネガティブな感情も少ないという事のようですね。
1人あたりGDPや健康寿命は良い順位ですが、その他の項目では低い評価が目立ちます。
自由度が64位というのも、非常に低い評価ですね。
ただこの数値は、イギリス、フランス、アメリカと同程度のようです。
寛容さが極端に低い順位です。
あまり寄付行為が一般的ではないと思いますので、この順位が低いのはやむを得ないのでしょうか。
総合すると、日本人は所得や健康以外の感情面では、あまり幸福とは言えないようです。
(あくまでも国連の評価基準に沿えばですが)
むしろ、所得水準や健康寿命の割には、幸福感を感じられていない国民という結果と受け取っても良いのかもしれません。
その所得も年々順位を落としています。
より幸福な社会とは何か、このリストを見て考えてみても良いかもしれませんね。
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