284 産業別の平均給与はいくら? - 労働者数と給与水準の変化
毎月勤労統計調査より、産業別の労働者数や平均給与を可視化してみます。製造業や建設業の労働者が減り、医療、福祉の労働者が大きく増えていますが、平均給与は多くの産業で横ばいです。
1. 産業別の労働者数
前回は毎月勤労統計調査のデータから、日本の労働者数や平均給与(現金給与総額)の推移を眺めてみました。
一般労働者は人数も平均給与も横ばいですが、給与水準の低いパートタイム労働者は大幅に増えていて、全体としての平均給与を押し下げているという側面がありそうです。
今回は産業別の労働者数や平均給与の推移を見てみましょう。
図1 労働者数 5人以上の事業所規模
(毎月勤労統計調査を基に作成)
図1は、産業別の労働者数の推移です。
産業は国際産業標準分類(ISICE REV.4)に則って区分されているようです。
ただし、公務が除外されています。
やはり製造業の減少が激しい事がわかりますね。
1993年のピーク時には1200万人程度でしたが、減少傾向が続き2022年では800万人を下回っていて、400万人近く減少しています。
建設業も1998年から減少傾向が続いているようです。
一方で、労働者数が増えているのが、医療、福祉と宿泊業、飲食サービス業、サービス業(他に分類されないもの)です。
特に医療、福祉では2000年に350万人程度だったのが、2022年には800万人近くに達し、製造業を上回っています。
これまでも見てきた通り、工業から公共的産業への転換は各国共通の傾向ですが、日本の国内統計データでもそれが良くわかりますね。
2. 産業別の平均給与
それでは、産業別の平均給与(年平均の月給:現金給与総額)を見てみましょう。
図2 給与総額 5人以上の事業所規模
(毎月勤労統計調査を基に作成)
図2が産業別の平均給与(年平均の現金給与総額)の推移です。
ほとんどの産業で横ばい傾向なのがわかりますね。
調査産業計では、1997年にピークとなり、その後減少し、停滞傾向が続いています。
労働者数の減る製造業、建設業は緩やかな上昇傾向、労働者数の増える医療、福祉、教育、学習支援業が減少傾向なのが特徴的です。
前回の内容を踏まえるならば、労働端数の増えている公共的産業においてパートタイム労働者が増えている事が推測されます。
電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、金融業、保険業、学術研究、専門・技術サービス業の水準が高く、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業の水準が低いようです。
3. 産業別に見た日本経済の特徴
今回は毎月勤労統計調査の結果から、産業別の労働者数、平均給与についてご紹介しました。
労働者の減る産業で平均給与が上昇し、増える産業で減少するという特徴が大変興味深いですね。
工業や建設業から、公共的産業への転換が進んでいますが、その分報酬の低い産業で働く労働者が増えているという事になりそうです。
給与や生産性停滞の裏にはこのような産業構造の変化があるのは間違いないと思いますが、他国ではそれでも産業ごとの付加価値(GDP)や生産性が向上しています。
日本は、フランスやアメリカ、イギリスなどと比べると、公共的な産業の労働者が少なく、製造業の労働者の多い産業構造です。
産業構造からするとむしろ生産性を高めやすい方のはずですが、総合するとこれらの国々よりも低いのが現状ですね。
仕事への対価や給与水準について見直す転機を迎えているような気がします。
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