042 主要国の存在感の低下 - 人口の世界シェア
世界のGDPは拡大を続けていますが、人口で見た場合はどうでしょうか?世界の人口と主要国の世界シェアについて可視化してみます。
1. 世界の人口推移
前回は、長期時系列データで世界のGDPの変遷を取り扱いました。
利用したのはオランダのフローニンゲン大学 Groningen Growth and Development Centreで公開している、Penn World Table 9.1(PWT9.1)です。
元となるURLは、以下となります。
University of Groningen - Groningen Growth and Development Centre: www.ggdc.net/pwt
GDP全体としては成長している中で、日本も含むG7のシェアが全体の53.5%から、直近の2017年では45.7%と低下がみられます。
G7+BRICs+韓国の主要国では、1970年の70.5%から、2017年では70.4%とほとんど変化がありません。
G7の経済が存在感を薄める中、BRICs+韓国の経済成長(特に中国)が目覚ましいですね。
それでは、人口はどうでしょうか。
今回は世界の人口について焦点を当ててみたいと思います。
図1 世界の人口推移
(Penn World Table 9.1 より)
図1は世界の人口推移を示します。
単位は[億人]です。
前回同様、Penn World Table 9.1のデータより、データのある全ての国と地域を積算しています。
ただし、1970年からデータのある国や地域もあれば、途中からデータが出てくる国や地域もありますので、厳密なデータではない点がありますのでご容赦ください。
前回のGDPのデータと比べると、単調というか面白みのないグラフになりました。
1970年に約37億人の人口が、直近の2017年には約75億人と47年間で2倍程度に増加しています。
いくつか言えそうなことは、G7の人口があまり変化していないという事です。
G7(日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、カナダ)の人口の合計は1970年で約5.8億人、2017年では7.6億人と1.3倍程度の増加です。
中国、インドがやはり大きな存在感がありますが、グレーのその他の国と地域の伸び方のほうが大きいようです。
それでは、各年代の人口シェアも見てみましょう。
2. 1970年の人口世界シェア
まずは1970年の人口世界シェアから見ていきましょう。
図2 世界の人口シェア 1970年
(Penn World Table 9.1より)
図2は1970年の人口の世界シェアです。
全体で37.3億人の人口と推定されます。
G7で5.8億人で、15.4%のシェアです。
この時GDPはG7で53.5%のシェアがありました。
G7+BRICs+韓国の主要国では、22.1億人となり59.3%のシェアです。
この時のGDPは主要国で70.5%のシェアがありました。
3. 1995年の人口世界シェア
続いて、日本経済の存在感が大きかった1995年の人口世界シェアを見てみます。
図3 世界の人口シェア 1995年
(Penn World Table 9.1より)
図3は1995年の世界シェアです。
日本経済が世界GDPの17.5%を占め最も輝いていた時代ですね。
この時の人口は1億2600万人で、世界全体の2.2%でしかなかったわけですね。
世界全体では57.5億人の人口と推定されます。
G7の人口は6.8億人で11.8%のシェアまで落ち込みます。
GDPはのシェアでは65.3%を占めています。
主要国の人口は32.3億人で56.3%のシェアです。
GDPのシェアでは74.1%です。
4. 2017年の人口世界シェア
最後に近年の人口世界シェアを眺めてみましょう。
図4 世界の人口シェア 2017年
(Penn World Table 9.1)
図4は2017年の世界シェアです。
全体で75.3億人と推計されます。
G7の人口は7.6億人で、10.1%のシェアです。
GDPでは45.7%まで一気に低下しています。
主要国の人口は39.2億人で、52.0%のシェアです。
GDPでは70.4%のシェアです。
一人っ子政策の影響と考えられますが、中国の占めるシェアがかなり低下しているようです。
さて、前回はGDP、今回は人口と世界全体の数値を扱ってきましたので、こんなグラフも作ってみました。
5. 世界の人口シェア
続いて、各国の世界での人口シェアの推移を見てみましょう。
図5 世界の人口シェア
(Penn World Table 9.1より)
G7各国は少子高齢化も進み、人口の増加が鈍化しています。
日本は人口が減少すらしていますね。
一方、中国、インドは人口が増えていますが、新興国の増加傾向の方が大きく、全体としてみればG7+BRICs+韓国の人口シェアも低下傾向です。
図5 GDPシェア/人口シェアの推移
図5はGDPのシェアを人口のシェアで割った指数を示します。
数値が1を超えて高いほど、少数の人口で多くのGDPを稼いでいるという事になります。
先進国とその他の国との格差とも捉えられます。
G7は1950年には約2でしたが、2000年ころには6近くにまで増大し、それ以降は低下して直近では4.5程度となります。
圧倒的な経済格差による存在感が、近年ではやや薄れてきているようです。
主要国では1.1程度から徐々に増加し、直近では1.35程度となります。
つまり、人口のシェアよりもGDPのシェアのほうが増大しているというわけですね。
その他の国と地域では、逆に1975年に0.8程度だったのが直近では0.6程度までに低下しています。
主要国以外では人口の急激な増加の割には、経済的成長が追い付いていないわけですね。
逆に経済成長の余地が大いにあるという事も示しています。
6. 世界の人口の特徴
今回は世界全体の人口と、その中に占める主要国のシェアについてご紹介しました。
世界全体では人口が直線的に増加し続けています。
その中でも中国、インドは以前から大きな存在感がありました。
また、G7+BRICS以外の国の人口が大きく増加していて、今後も増え続ける想定となっています。
人口に対するGDPのシェアで見ればG7の存在感も低下傾向となり、行き詰まる先進国の状況と、これから台頭してくるであろう新興国などの様子が見て取れたのではないでしょうか。
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