126 日本の物価比率とは? - 海外との相対的な物価の変化

日本は先進国の中でも物価比率の高い割高な国だったようです。国内物価の停滞と共に、国際的な物価比率も低下が続き、近年では既に割高な国ではなくなっています。今後は海外との関係性が変化していくかもしれません。

1. 物価比率とは

前回は、日本企業の規模ごとに設備投資の推移を見ていきました。
日本企業は、特に大企業において設備投資を大幅に減らしている実態が分かりました。
将来付加価値を生むはずの設備投資を減らし、人件費を抑制し、有価証券投資を行う主体へと変貌しているという事になりますね。

少し、法人企業統計の内容が続いたので、今回は少し目線を変えてみたいと思います。

今回は、改めて物価比率(Price level)について取り上げてみたいと思います。
消費者物価指数(CPI)や、GDPデフレータはある時を基準にした物価の変動を示す指数ですね。
ただし、これらは1国内の物価の時系列的な変動を示すだけで、国際的な物価レベルの比較には使えません。

国家間の物価の程度を比較をするには、物価比率(Price Level)という指標があります。
購買力平価と物価比率について、以前取り上げましたので下記記事も是非ご参照ください。
 参考記事: 物価比率って何だろう?

物価比率は、同じものを買う時に、日本だと安いけど、ヨーロッパだと高い、というような国家間のモノやサービスの価格の相違ですね。
各国のビッグマック価格を利用した価格比率であるビッグマック指数は良く知られています。

例えば、為替レートが100円/ドルとした場合に、日本でビッグマックを食べると300円(3ドル)なのに、アメリカだと5ドルで値段が違う、といった具合ですね。
アメリカの方が日本よりも、1.5倍程ビッグマックが割高(物価が高い)という事になります。
あの国は物価が高い、といった場合の物価は、この物価比率の事を指すと思います。
例えばスイスは物価の高い国というイメージがあるのではないでしょうか。

数値的には物価比率は、購買力平価為替レートで割ったものとして表現できます。

2. 物価比率の国際比較

OECDの統計データで、OECD平均に対する各国の物価比率のデータがありましたので、ご紹介します。

物価比率 2019年

図1 物価比率 2019年
(OECD統計データ より)

図1がOECD 37か国の物価比率のグラフです。

OECDの平均値を100とした場合の、各国の物価比率(GDPベース)を示します。
日本は、2019年の時点で110とOECDの平均値よりもやや高い物価比率のようです。
物価比率の高い国には北欧諸国が並び、アメリカ、日本と続きますね。

日本はOECDで11番目、G7でもアメリカに次いで2番目と、相対的にやや物価の高い国ではあるようです。
国内で見れば、物価が下がっていますが、国際的に見ればまだ物価のレベルが高い方になるわけですね。

物価比率 1997年

図2 物価比率 1997年
(OECD 統計データ より)

図2が1997年の物価比率のグラフです。

実はこの頃、日本は先進国で最も物価比率が高い国だったわけですね。
数値もOECDの平均値の1.4倍もの水準だったようです。

2019年はドイツは97と平均を下回る物価比率ですが、この頃はドイツも110と高い水準だったようです。

3. 物価比率の推移

物価比率の推移についても確認してみましょう。

物価比率

図3 物価比率 推移
(OECD 統計データ より)

図3は主要国の物価比率の推移を示すデータです。

実は日本は、2002年頃まで先進国で最も物価比率の高い国だったようです。
バブルの頃1985年から急激に物価比率が上昇し、1992年にスイス等を抜いて先進国で最も高い物価比率となりました。
1995年にはアメリカの1.85倍もの水準に達しています。

その後、徐々に物価比率が下がり、現在は他の主要国と大差のないレベルで落ち着いてきていますね。
ノルウェーやスイスは高い水準をキープしています。

一時は極めて高い水準だったイギリスも徐々に落ちてきて、現在はアメリカやカナダよりも低い水準ですね。
ドイツやアメリカ、イタリア、フランスは平均値近辺で上下している状況ですね。
韓国は徐々に高くなっています。

この間、日本の国内では物価停滞が続いていたわけですので、国内の物価減少と国際的な物価比率が結びついていると考えられますね。
1997年は、GDPや平均給与がピークとなった年です。
この年を境に物価停滞が継続し、日本経済は停滞しています。

4. 物価比率の特徴

今回は、OECDの平均値を基準とした各国の物価比率をご紹介しました。

日本は、1985年のプラザ合意を機にした円高もあって、急激に物価比率が高まり、その後相対的に物価比率が下がっています。
過剰に高まった円高傾向が少しずつ解消されていく過程とも見て取れそうです。

1990年代は他国から見ても日本の物価がかなり割高だったことが想像されます。

日本で作ったモノは輸出では売れず、現地生産化が加速したと考えると、日本では輸出が相対的に少なく、流出一方のグローバル化が進んだというこれまでの統計データとも符合します。

物価比率が低下したことにより、既に日本は割高な国ではなくなりつつあります。
高い物価比率を背景にした今までの企業活動が、今後変化していく事が予想されそうです。

輸出についても、「日本で作ったものは高すぎるので売れない」という領域も減ってくるかもしれませんね。
人口が減少する中、1人あたりの生産性を高めやすい時期に入りますので、そのチャンスは大いにあると思います。

皆さんはどのように考えますか?

次回、物価比率とGDPの関係について取り上げてみたいと思います。

参考:最新データ

(2023年12月追記)

物価比率

図4 物価比率
(OECD統計データより)

図4が最新の2022年まで延長した物価比率の推移です。
OECDの平均値ではなく、アメリカを基準(1.0)とした比率となっているのでご注意ください。

日本(青)は、2014年ころからアメリカを下回る水準で落ち着いていましたが、2022年には円安が進んだこともあり、他国よりも落ち幅が大きく、OECDの平均値を下回る水準にまで下落します。

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