276 貿易相手の変化 - 最大相手国はアメリカから中国へ
日本の相手国別の貿易の変化を可視化してみます。近年では最大相手国はアメリカから中国に移っているようです。
目 次
1. 日本の相手国別輸出額の推移
前回までは、日本や主要先進国の金融資産・負債残高、金融勘定を見てきました。
バブルやリーマンショックなどで、どの主体がどのように挙動してきたのか色々とわかって興味深いですね。
今回からまた、様々な経済統計データをご紹介していきます。
今回と次回は貿易についてです。
以前、貿易については各国の輸出や輸入を相対化してご紹介しました。
参考記事: 貿易でも存在感が薄れる日本
参考記事: 貿易の少ない日本
日本は貿易大国という印象を持つ人も多いと思いますし、実際に輸出も輸入も増加傾向ではあります。
しかし、他の先進国は更に貿易を活発化していて、人口比や対GDP比で見ると日本は貿易が少ない国という特徴があるようです。
今回は、そんな日本の貿易のうち、輸出や輸入の相手国がどのように変化してきたかを可視化してみましょう。
図1 輸出額 相手国別 日本
(財務省 貿易統計より)
図1が相手国別の日本の輸出額の推移です。
近年では約100兆円の輸出規模となりますが、とても特徴的な変化ですね。
まず、1980年代からアメリカ(赤)が圧倒的な輸出相手国だったことがわかります。
12~17兆円ほどでアップダウンしながら推移していますが、大きく増えているわけではありません。
ドイツや、イギリスなども、数兆円程度のボリュームとなりますが、1990年代から横ばい傾向です。
一方、中国(橙)と韓国(茶)が大きく増大している事が確認できます。
韓国は2007年あたりをピークにして5~6兆円程度で横ばい傾向ですが、中国は増加傾向が続いています。
近年ではアメリカを超え、20兆円近くに迫り、最大の輸出相手国という事になりますね。
2. 日本の相手国別輸出額の国際比較
続いて日本の相手国別輸出額の国際比較をしてみましょう。
図2 輸出額 相手国別 日本 2021年
(財務省 貿易統計より)
図2が2021年の日本からの輸出額が多い国順に並べたグラフです。
中国、アメリカが突出していて、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポールとアジア圏が続きます。
ドイツが2.6兆円で比較的大きな存在感ですが、基本的に上位はアジア地域ですね。
これらの国々には、海外生産拠点への部品や工作機械の輸出なども多く含まれるかもしれません。
いずれにしろ、日本の輸出はアジア地域が多い事が良くわかります。
3. 日本の相手国別輸入額の推移
次に輸入相手国についても見てみましょう。
図3 輸入額 相手国別 日本
(財務省 貿易統計より)
図3が日本から見た相手国別の輸入額推移です。
やはり以前よりアメリカが圧倒的でしたが、2000年あたりに中国が追い抜き今や圧倒的に中国からの輸入が多いことになります。
輸出と違い輸入はアメリカの水準がやや低いのが特徴的ですね。
一方中国からの輸入は2022年には25兆円に達していて、約4分の1を占めることになります。
4. 日本の相手国別輸入額の国際比較
続いて、日本の相手国別輸入額の国際比較です。
図4 輸入額 相手国別 日本 2021年
(財務省 貿易統計より)
図4が相手国別の輸入額が大きい順に並べたグラフです。
中国が圧倒的で、次いでアメリカですが、その次はオーストラリア、アラブ首長国連邦、サウジアラビアと資源国が並びます。
やはり、原油等の資源の輸入が多いという特徴があるようです。
台湾や韓国、インドネシアなどアジア圏からの輸入も多い事が良くわかります。
5. 日本の相手地域別輸出額の推移
最後に地域別の輸出額を見てみましょう。
図5 輸出額 相手地域別 日本
(財務省 貿易統計)
図5が相手国の地域別輸出額の推移です。
北米(赤)、西欧(緑)は規模は大きいですが、アップダウンしつつ停滞が続いています。
一方でアジア(青)は大きく増加傾向が続いていますね。
この多くの割合が中国ではありますが、その他のアジア諸国も大きく増加しています。
貿易という面では、日本はアジア地域での結び付きを強めているという特徴があるようです。
もちろん、これらの国々には、貿易ではなく海外生産など対外直接投資も増えています。
アジアとの経済的結びつきは今後も強まっていくのではないでしょうか。
6. 日本の相手国別貿易額の特徴
今回は、日本の相手国別の輸出額と輸入額についてご紹介しました。
従来はどちらもアメリカが最大の相手国でしたが、近年では中国が最大相手国となっています。
北米、欧州との貿易はあまり増えていませんが、中国も含めたアジア地域との貿易が大きく増加しているのも特徴的です。
貿易においても、近い距離同士での結びつきが強まっていると言えそうです。
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