014 お金以外の豊かさとは!? 安心・安全編

OECDのWell-beingのうち安心・安全に関する指標を国際比較してみます。

1. 安心度の国際比較

前回はWell-beingのうち、教育について国際比較してみました。
安心して外を出歩ける、身の危険を感じずに済むといった、生活をしていて安心・安全に過ごしていける事も豊かさを感じる一つの指標ではないかと思います。

今回は、OECDの統計データから国民の安心安全について考えてみます。

平均給与 安心度 2017年

図1 平均給与-安心度
(OECD統計データ より)

まず図1に示したのが、平均給与に対する安心度のバブルチャートです。
横軸が平均給与[US$]、縦軸が安全度[%]、バブルの大きさが人口を示します。

安心度(原文は、Feeling safe walking alone at night)は、「あなたの住む町で夜間一人で出歩いた場合安全だと感じるか?」という質問に、「安全と感じる」と回答した人の割合です。
必ずしもこの指標が全ての国民の安心を表しているわけではないと思いますが、代表的な指標として取り上げてみます。

バブルチャートを見ると、正の相関(横軸の増加に対して縦軸も増加する傾向)があると思います。
平均給与が高い方が、安心と感じる割合が多いという事ですね。
ノルウェーが87.7で1位です。
フィンランド、スウェーデンなど北欧諸国や、スペイン、イギリス、ドイツ、アメリカが高い水準です。

日本は70.6とOECD平均をやや下回り、19位という位置でした。
もちろんその国の国民性というか、何を安心と考えるかという気質・傾向にもよると思います。
比較的安心に暮らせる国と思われている日本ですが、実際に住んでいる人の感覚としては平均並みといったところですね。

また、比較的経済規模の小さな国も高い水準を誇りますので、人口や経済規模はこの指標にはあまり影響していないようです。
経済規模や他の統計結果が比較的近かったスペイン(83.1、5位)とイタリア(58.3、32位)が、このグラフでは大分離れているのも印象的です。

2. 安全度の国際比較

平均給与 殺人件数 2017年

図2 平均給与-殺人件数
(OECD統計データ より)

次に図2に、殺人件数のグラフを示しました。
この指標は、2015年あたりにおける、人口10万人あたりに発生した年間の殺人件数を示します。

安心度のようにどのように感じるかという定性的な評価よりも、実際に起こりうる脅威の確率を表します。
グラフには入っていませんが、メキシコが17.9件と断トツの1位です。
2位が6.6のラトビア、3位が4.9のアメリカ、4位が4.5のチリです。

メキシコやチリなどの数値が高いのはなんとなくわかりますが、アメリカの数値の高さが際立って見えますね。
数値の小さい方では、下からイギリス(0.2、35位)、日本(0.3、34位)、オーストリアとドイツ(0.4、32位)です。

経済規模が大きく、給与水準も高く、今まで見てきた各種統計結果でも高い水準を誇ったアメリカですが、この数値では異常と言える数値を示しています。
経済発展の裏では、国民の安全が犠牲になっている、とも言えるかもしれませんね。
銃社会、移民や人種問題などの要素も関係しての事でしょうか。

3. 安心度・安全度の特徴

今回はOECDのWell-beingのうち、安心度と安全度に関わる指標をご紹介しました。

日本は、安心度ではOECDの平均程度ですが、実際の殺人件数では極めて低い水準ですので、OECDの中ではイギリスやドイツなどと同様に安全に暮らせる国と考えられそうです。
給与水準のわりには、比較的安心・安全に暮らせる国ですね。

ただし、平均給与が上がれば、更に安心な環境を実現できる可能性も示されていると考えても良いかもしれません。

皆さんはどのように考えますか?

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