281 男性のパートタイム雇用率 - 日本は近年急上昇

1. 主要先進国の推移

前回は、OECD各国のパートタイム雇用率をご紹介しました。
日本のパートタイム雇用率は、年々上昇していて、他国が停滞や減少している中、異質な動きをしているようです。
近年ではイギリスやドイツを抜いてG7で最も高く、先進国でも4番目の水準に達しています。

今回は、現役世代男性パートタイム雇用率について国際比較をしてみましょう。
パートタイム労働者が増えているのが女性だけなのか、男性もなのかが可視化できると思います。

パートタイム雇用率 15~64歳 男性

図1 パートタイム雇用率 15~64歳 男性
(OECD統計データ より)

図1は主要先進国の現役世代(15~64歳)男性のパートタイム雇用率です。

やはりオランダが圧倒的な水準で、かつ上昇傾向ですね。
カナダ、イギリスも1990年代から比較的高い水準に達していたようです。

日本はOECDの平均値をやや超える程度で推移していましたが、2018年あたりから急激に増加して、2021年の時点ではイギリスを超えます。

2. 日本の水準

パートタイム雇用率 15~64歳 男性 2021年

図2 パートタイム雇用率 15~64歳 男性 2021年
(OECD統計データ より)

図2が2021年男性 現役世代パートタイム雇用率です。

やはりオランダが17.8%で圧倒的なのが特徴的ですね。

次いで、オーストラリア(13.9%)、ノルウェー(12.2%)、カナダ(11.8%)、チリ(11.7%)、フィンランド(11.5%)、メキシコ(11.5%)、デンマーク(11.5%)と続き、日本は10.8%で37か国中9番目の水準です。

OECDの平均値が7.7%なので、日本は平均よりも大分高い水準です。
先進国でも男性のパートタイム雇用率の高い国という事になりそうです。

3. 日本の非正規雇用

日本の統計データも確認してみましょう。

有業者数 男性 1997年
有業者数 男性 2017年

図3 有業者数 男性 従業上の地位・雇用形態別 1997年・2017年
(就業構造基本調査 より)

図3が男性雇用形態別労働者数の変化です。
左が1997年、右が2017年となります。

パート(ピンク)・アルバイト(橙)が1997年では5%程度、2017年では9%程度でシェアとしては倍程度に拡大しています。
男性の労働者数自体は減少していて、特に正規職員・従業員は2700万人程度(68%)から、2300万人程度(63%)に減少しています。

全体の変化としては、経営者(自営業主・役員)や正規職員・従業員が減り、パートタイムも含めた非正規雇用が増えています。

有業者数 男性 30代 1997年
有業者数 男性 30代 2017年

図5 有業者数 男性 従業上の地位・雇用形態別 1997年・2017年
(就業構造基本調査 より)

図5が男性30代の労働者シェアの変化です。
男性の30代でも正規職員・従業員が減り、非正規職員・従業員が大幅に拡大している様子がわかります。

実は男性の現役世代でも非正規化やパートタイム雇用率の上昇があるというのは意外な事実ではないでしょうか。

4. 男性のパートタイム雇用率の特徴

今回は先進国各国の現役世代 男性パートタイム雇用率について着目してみました。

各国でやや増加傾向がみられる中で、日本は近年特に急激に上昇して先進国でもパートタイム雇用率の高い方になります。
男性のパートタイム雇用率上昇は、ドイツやフランスなどでも確認できますが、ここ数年での上昇率では日本が上回ります。

男性の仕事の質や働き方が緩やかに変化しているのは各国共通なのかもしれませんが、日本の変化は急激な印象です。

オランダは圧倒的に高いパートタイム雇用率となっていますが、パートタイム労働者の時給(男女平均値)はフルタイム労働者とほとんど遜色ないという特徴もあるようです。
一方、近年急上昇している日本のパートタイム労働者の時給は、フルタイム労働者の半分未満となります。

パートタイム労働者の仕事の質や対価の考え方にも違いがあるのかもしれませんね。

皆さんはどのように考えますか?

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