041 世界シェアで見る日本経済 - かつて大きな存在感のあった国
1. 圧倒的なアメリカ、急伸する中国、停滞する日本
前回は、戦後1950年頃からの長期時系列データを元に、日本や主要国のGDPを取り上げてみました。
利用したのはオランダのフローニンゲン大学 Groningen Growth and Development Centreで公開している、Penn World Table 9.1(PWT9.1)です。
PWT9.1は、世界各国のGDPや人口、生産性などの長期時系列データをまとめて公開しています。
今回は世界経済全体の変遷を見てみたいと思います。
元となる統計データは、以下のサイトで公開されています。
University of Groningen - Groningen Growth and Development Centre: www.ggdc.net/pwt

図1 世界全体のGDP
(Penn World Table 9.1 より)
図1は世界全体のGDPを累積したデータです。
1950年からのデータとなります。
このデータは214の国と地域のGDP値を積算していますが、全ての国が1950年からデータがあるわけではないので、厳密なモノではありません。
特にソ連は1970年からのデータとなります。
ロシアのデータは1990年でソ連のデータと繋ぎ合わせています。
縦軸は[兆ドル]です。
主要国G7+BRICs+韓国にフォーカスしています。
それ以外は全て、「その他」に含まれます。
1980年~1985年の間に若干の停滞がありますが、基本的には右肩上がりで全体のGDPが成長していますね。
日本も1995年までは順調に成長しているものの、その後は停滞している様子が良くわかると思います。
アメリカは全体を通じて増大し続けており、中国も2000年後半から急激に増大しています。
それでは各年ごとにGDPのシェアを見てみましょう。
2. 1970年:米ソ二強時代

図2 GDP世界シェア 1970年
(Penn World Table 9.1 より)
図2は1970年のGDPの世界シェアを示します。
図中の数字はGDPで単位は100万ドルです。
1970年は全体で3.7兆ドル、日本は0.2兆ドルで全体の5.7%のシェアです。
アメリカは1.1兆ドルで全体の29%ものシェアを誇ります。
G7全体で2.0兆ドル、全体の53.5%です。
主要国で2.6兆ドル、全体の70.5%です。
ソ連とアメリカの冷戦期で、ソ連のGDPもアメリカほどではありませんが非常に大きなシェアを誇ります。
3. 1985年:日本の急伸

図3 GDP世界シェア 1985年
(Penn World Table 9.1 より)
図3は1985年の世界シェアです。
世界全体で13.7兆ドルと15年間で約3.4倍になっています。
日本は1.4兆ドルと15年間で約6.6倍となり、シェアも10.2%にまで広げています。
ドイツを抜き去り、世界第二位の経済大国となります。
アメリカは4.3兆ドルで約4倍となり、シェアは31.6%です。
この頃はアメリカ単独で世界のGDPの約3分の1を占めていたわけですね。
G7全体で8.3兆ドル、全体の60.7%です。
主要国で10.1兆ドル、全体の73.3%です。
日本、アメリカの大きな飛躍の時代を表していますね。
4. 1995年:日本が最も輝いていた時代

図4 GDP世界シェア 1995年
(Penn World Table 9.1 より)
図4は1995年の世界シェアです。
世界全体で31.2兆ドルと10年間で約2.3倍になっています。
日本は5.4兆ドルと約3.9倍となり、シェアも17.5%にまで広げています。
アメリカは7.6兆ドルで、シェアは24.5%です。
日本が世界の約6分の1のシェアを誇り、最も輝いていた時代ですね。
アメリカのGDPに対しても71.3%の割合まで迫っています。
この時期は日本、アメリカ、ドイツの3国だけで世界の半分以上のGDPとなっています。
G7全体で20.4兆ドル、全体の65.3%です。
主要国で23.1兆ドル、全体の74.1%です。
5. 2005年:日本の停滞と中国の存在感増大

図5 GDP世界シェア 2005年
(Penn World Table 9.1 より)
図5は2005年の世界シェアです。
世界全体で47.5兆ドルと10年間で約1.5倍になっています。
日本は4.8兆ドルとなんと10年間で0.87倍と唯一減少し、シェアも10%に落ち込みます。
アメリカは13.0兆ドルで、1.7倍となりシェアは27.4%です。
中国は2.3兆ドルと日本の約半分のGDPまで急成長しています。
この時期は日本の凋落と中国の躍進が決定的となった時代ですね。
G7全体で28.4兆ドル、全体の59.7%です。
主要国全体で34.1兆ドル、全体の71.6%です。
6. 2017年:米中二強時代と日本の凋落

図6 GDP世界シェア 2017年
(Penn World Table 9.1 より)
図6は直近の2017年の世界シェアです。
世界全体で80.7兆ドルと12年間で約1.7倍になっています。
日本は4.9兆ドルと12年間でほぼ変化が無く、シェアも6%と1970年と同じ水準に落ち込みます。
アメリカは19.5兆ドルで、1.5倍となりシェアは24.1%です。
中国は12.2兆ドルと一気に躍進し、アメリカに次ぐ15.2%のシェアとなります。
日本が停滞から抜け出せず、中国の躍進が進んだ時代です。
G7全体で36.9T兆ドル$、全体の45.7%とG7で50%を割り込みました。
主要国全体で56.8兆ドル、全体の70.4%です。
7. 時系列で見るGDPシェア
最後に各国のGDPシェアを1つのグラフにまとめてみましょう。

図7 世界のGDPシェア
(Penn World Table 9.1より)
日本のシェアが1990年代中盤に向けて拡大していき、その後減少しています。
ちょうど対照的に推移している様子がわかりますね。
G7とBRICS、韓国のシェアを合わせてちょうど70%前後で推移しているのも興味深いです。
ロシア(ソ連)のシェア低下、2000年以降のG7シェア低下に対し、中国の躍進というのが良くわかりますね。
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