3次元形状とは
3次元形状とは、平面や穴、輪郭のように1次元や2次元的な形状ではなく、傾斜面や自由曲面など、高さ方向にも変化のある形状です。
典型的な3次元形状は上図のような半球状の形状です。
他にも上図のような形状も3次元形状と言えます。
(A)は自由曲面形状を持つ部品です。
成型部品の金型や、受け治具などに多い形状です。
(B)は人物の3Dスキャンによる3Dモデルです。
このような形状も3次元形状ですし、切削加工での加工が可能な形状です。
3次元形状部品の例
治具部品
オブジェ
3Dミラー
治具部品
半導体関連部品
スクリュー形状部品
航空機関連部品
インペラ・ローターブレード
3次元形状の加工
切削加工は3次元形状に限らず、体積を大まかに除去する「粗加工」と、仕上面を精度よく削る「仕上げ加工」を行います。
冒頭の半球状の部品を削る工程は、次のようなものです。
STEP1 粗加工
直径の大きなエンドミルで、スピーディに体積を除去していきます。
この時利用されるのは、スクエアエンドミルやラフィングエンドミルです。
仕上加工で削るために、最終的な仕上面に対して、「削り代」残しておきます。
粗加工が終わると、下の図のように階段状の形状になります。
STEP2 仕上げ加工
粗加工後のワークに対して、主にボールエンドミルを使用して、細かく仕上面を削っていきます。
使用するエンドミルの直径は、部品の中で最も小さい隅アール(最小アールと言います)に合わせます。
仕上面の精度や面粗さと、エンドミルの直径によって、加工ピッチが決まります。
加工ピッチを細かくすると加工面はなめらかになりますが、加工時間が増大します。
ワークの大きさや、材質、形状などによって、粗加工を二段階にするなど、加工業者によって様々な工程の組み方があります。
上記の例はあくまでもイメージとしての例です。
3次元形状設計のポイント
隅アール
切削加工では、3次元形状部品は最終的にボールエンドミルで削ることになります。
加工業者は、3Dモデルデータに付加されている最小の隅アールを読み取って加工に反映させます。
3Dモデルデータで隅アールを付加できない場合は、設計上許容できる「最大の隅アール」をご指示ください。
加工都合からすると、隅アールはできる限り大きい方が望ましいですが、設計上相手部品との勘合の都合などもあると思います。
面粗度
3次元形状の隅アールと、面粗度には密接な関係があります。
ボールエンドミルの半径(R)、加工のピッチ(P)、加工面粗さ(h)とすると、この3者には近似式として次の関係があります。
h = P2 / ( 8 x R )
hはカスプハイトとも呼ばれます。
自由曲面の面粗さを極端に小さく指定してしまうと、ピッチを細かく加工せざるをえず、膨大な加工時間となることがあります。
3次元形状の面粗さの指定は、できる限り許容できる上限まで緩和していただくのが合理的です。
3次元形状の加工方法詳細については、こちらの記事も是非ご覧ください。
ミスミmeviyブログ
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