028 「物価」ってなに!?

1. 物価指数とは!?

前回は、デフレーションについて取り上げました。
デフレは物価が継続的に下落していく現象です。
前回のグラフで見る限りでは、日本の物価は昔の水準を下回っている状態が続いていますが、下がり続けているわけでもないという事もわかりました。
かといって、下げ止まったままの状態が続いていますので、継続したインフレという事でもなさそうです。

もちろん物価は上がれば良いというわけでもないと思います。
消費者からすれば、物価が上がる=モノの値段が上がるわけですね。
適度な物価の上昇があり、それを上回る経済成長(GDP、消費、賃金などの名目値)があって、緩やかな実質値の上昇があるというのが好ましい循環なのだと思います。

そもそも物価とは何なのでしょうか。
今回は物価についてもう少し詳しく考えてみたいと思います。

物価とは種々の商品やサービスの価格を、ある一定の方法で総合した平均値のことであり、物価指数として示される。
言い換えれば、商品・サービスが貨幣に対してもつ交換価値のことであり、貨幣の購買力とは逆数の関係となる。」

少しわかりにくいのですが、要するに物価とは個々の値段を指すものではなく、総合的・一般的にとらえるモノやサービスの価値の事だそうです。

物価の程度を表す代表的な指標として、前回取り上げたGDPデフレータ消費者物価指数があります。
GDPデフレータは名目GDPと実質GDPの割合として表現されます。
数値が1(あるいは100)よりも小さいと、名目GDPが実質GDPよりも小さい事になるので、この傾向が続くとデフレ状態という事です。
GDPデフレータは、国民(家計)が消費したもの以外にも、企業が消費したものも含まれます。

消費者物価指数は、「全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの。すなわち家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもの。」とのことです。(総務省)

小売物価統計の小売価格の平均から、各種統計的な処理を施して、指数としてまとめたもののようです。
消費者物価指数は通常の総合指数CPI(Consumer Price Index)の他に、コアCPIやコアコアCPIが使われます。

コアCPI: 天候などの影響を受けて変動の激しい生鮮食品を除いた指数
コアコアCPI: 食料およびエネルギーを除いた指数

国際的に物価指数として用いられるのは、コアコアCPIが多いようです。

2. 物価指数の推移

それでは、まず各種CPIとGDPデフレータの長期推移について見てみましょう。

物価指数 成長率 1970年基準

図1 物価指数 長期
(総務省統計局データ、OECD統計データ より)

1970年を基準(1.0)とした場合のCPIコアCPIコアコアCPI、GDPデフレータについて図1に示しました。

ピークは1997-1998年で、CPI、コアCPIで3.1程度、コアコアCPIで3.3程度、GDPデフレータで2.6程度です。
1970年から50年弱かけて物価が3倍以上になっているという事ですね。
1997年以降は持続的に下がり、2014年あたりから少し上がっています。

CPIとコアCPIは2006年から2008年にかけて若干上がりかけていますが、2008年以降は下がっています。
恐らくリーマンショックの影響でしょうか。

3. CPIとGDPデフレータの乖離

日本 物価指数 成長率 1997年基準

図2 CPIとGDPデフレータの比較

図2に1997年を基準にしたCPIGDPデフレータを示します。

念のため、GDPデフレータはOECDではなく、内閣府発表の国民経済計算の数値を使っています。
同じ物価を示す指数のはずなのですが、CPIとGDPデフレータには大きな乖離があるようです。

CPIよりもGDPデフレータの方が大幅に下振れしていますね。
CPIとGDPデフレータは対象や計算式が違うため、一致しないという事はよく指摘されるようです。

GDPデフレータは国内で生産されるすべてのモノやサービスを対象としていますが、消費者物価指数は家計で消費されたモノやサービスのみを対象としているという違いがあるそうです。
消費者物価指数には自国で生産されていない輸入品の購入も含まれていますが、GDPデフレータには含まれません。
逆にGDPデフレータには家計で購入されないような産業用の機械などが含まれます。

いずれにしても、ピークとなっていた1997年からは減少傾向が続き、2014年に消費増税分だけ増加している事は変わらないようです。

GDPデフレータは1997年に対して直近の2017年には0.88です。
CPIは1.01、コアCPIは1.00、コアコアCPIは0.96です。

試みにGDPを構成する要素のうち、家計現実最終消費についてのデフレータをグラフ化して掲載してみました。
コアコアCPIに大分近い推移となっていることがわかると思います。

4. 取り残される日本の物価

GDPデフレータ

図3 OECD各国のGDPデフレータ推移
(再掲 OECD統計データ より)

て、改めて図3にOECD各国のGDPデフレータの推移を示します。
36カ国全てプロットしているので見難いですが、ご容赦ください。
他の先進国は少なくとも1991年に比べて40%以上の物価上昇があります(スイス以外)。

G7でも40~80%程度は物価上昇していますし、その他の国ではもっと極端に物価が上がっている国も多くあります。
少なくとも基準年を下回ったり、基準年を超えるかどうかという水準の国は日本以外ありません。

他の国がこれだけ物価が上昇している中で、日本だけCPIが1.0近辺、コアコアCPIは1.0を超えない、GDPデフレータに至っては0.9も行かない状況なわけです。

TVやインターネット上の議論などでも、コアCPIが前年度からプラスになったから厳密にはデフレではない、などの指摘もあるようですが、もう少し長い目で見てざっくりと見てみるとどうでしょうか?
短期的な変動ばかりに注目してしまうと、大局的な動きを見逃してしまうように思います。

5. 日本の物価の特徴

今回は物価についての統計データを眺めてみました。

日本は1990年代をピークにして物価がいったん下がり停滞しています。
その後やや増加傾向ではありますが、長期的に見れば停滞が続いているような状況です。

また、GDPデフレータと消費者物価指数には乖離があるのも特徴的です。

GDPや平均給与などの経済指標も日本は1997年のピークから停滞を続けています。
物価にもその影響がそのまま反映されている状況ですね。

私たち企業から見た場合、物価とは生産するモノやサービスの売値そのものの変化ですね。
これだけ物価が変わらないという事は、私たち企業が売値を上げられていないという事を意味します。

日本に住んでいると気づきにくいですが、モノやサービスの値段は上がるものというのが標準的なようです。
インフレが続く世界から見れば、日本はどんどん安くなるという事を意味するのかもしれません。

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