001 サラリーマンの貧困化 - 日本の労働者の平均給与

日本の労働者の平均給与についてご紹介します。長期間経済が停滞する中で、平均給与の変化は特に特徴的です。

1. 日本の労働者の平均給与

バブル崩壊を転換点として「失われた〇〇年」などと言われるように、日本経済は停滞が続いてきたようです。
他の先進国を含めて世界経済は成長し続けていますので、日本は相対的にむしろ衰退している、とも言われているのはご存じでしょうか?
私たちは世界有数の経済大国ではありますが、人口1人あたりで見ればそれほど豊かでもないと言われます。

このブログでは、このような日本経済について、統計データから可視化しその実際の姿を確認していくという趣旨で公開させていただいています。
様々な経済統計データを、できるだけ長期の時系列でグラフ化し共有していきます。

今回はサラリーマン(給与所得者)の低所得化についてご紹介します。
調べたデータは、国税庁の民間給与実態統計調査です。
日本経済の変化が良くわかるとても重要な統計と考えましたので、まずは第1回として最初に取り上げさせてもらいました。

平均給与

図1 労働者の平均給与推移
(民間給与実態統計調査 より作成)

良く見るグラフかもしれませんが、図1に労働者平均給与の推移を示しました。
青が男性、赤が女性、緑が男女合計の平均値です。

男性と平均値のグラフを見ると、1997年をピークにして減少傾向が続き、2010年からやや上昇傾向が続きましたが1997年の水準を超える前に、コロナ禍でまた減少してしまいました。
女性は1990年代から横ばい傾向が続いていましたが、近年は緩やかに上昇傾向です。

男性の平均給与は、1997年の577万円に対して、直近のデータである2020年には532万円となっています。
実に平均値で年間40万円以上も給与が減っているようです。

2. 給与階級別の分布

統計データを扱う上で、平均値は大変重要な数値と思いますが、その詳細を知る事で、より状況の真相に近づける事もあるのではないかと思います。
ここでは、もう少し詳細の分布データを見てみましょう。

まずは、給与階級別の給与所得者数について、近年(2016年)と過去(1999年)との比較データを示していきます。
収入の水準ごとに、どれだけの労働者が分布しているかという観点となります。

給与階級別 給与所得者数 合計

図2 給与階級別 給与所得者数 合計
(民間給与実態統計調査 より作成)

図2が民間企業に勤める労働者の給与階級別の分布です。
日本は人口が減っていると言われますが、1999年から2016年で労働者自体は、実は400万人近く増加している事になります。

一方、平均給与は下がっていて、全体的に低所得者の層が増えていますね。
「600万円以下」から高所得側の労働者数が減っています。
よく見ると、「2500万円以下」よりも高所得側の層が微増しているのも興味深いです。

一方「500万円以下」よりも低所得側の労働者数がが増えていて、特に「300万円以下」よりも低所得側の層の増え方が非常に大きいことがわかります。

全体として低所得化している事になりそうです。

3. 性別での給与階級別分布

次に男女別で分布を見てみましょう。

給与階級別 給与所得者数 男性

図2 給与階級別 給与所得者数 男性
(民間給与実態統計調査 より)

図2は男性のデータです。
この20年近くで、「400万円以下」の低所得層が増え、「500万円以上」の中~高所得層の人数が減っています。
全体の人数はそれほど変わらないようです。

「2,500万円以下」「2,500万円超」の高所得層が増えているのも確認できます。

最頻値は1999年は400~500万円の階層であったのに対して、2016年には300~400万円の階層に移っています。

給与階級別 給与所得者数 女性

図3 給与階級別 給与所得者数 女性
(民間給与実態統計調査 より)

図3は女性の分布です。

女性労働者は、労働者数が大きく増えたことで、各階層で満遍なく人数が増えているのがわかります。
平均給与もほとんど変わりません。

最頻値は「300万円以下」から「200万円以下」に移っています。

男性と比較すると低所得側に大きく偏っていることも確認できますね。

3. 平均給与の国際比較

日本の経済においては、低所得化が進む男性労働者と、もともと低所得だけど労働者数の増える女性労働者という特徴がありそうです。
そして、全体としては1997年の水準から減少して停滞気味と言えます。

このような変化は、一般的なのでしょうか?

平均給与の伸び

図4 平均給与 成長率
(OECD統計データ より)

図4はOECD(経済協力開発機構)の35か国について、2000年の水準からの平均給与(Average annual wages)の伸びを比較したグラフです。
2000年の時点を1として、その倍数として表現しています。
この指標は、パートタイム労働者もフルタイム働いたと見なした場合の、年間の平均給与を計算したものです。
(具体的には、賃金・俸給を雇用者数で割り、フルタイム雇用比率をかけたものです。)

OECDはアメリカやイギリスなどのG7各国を含む、先進国と呼ばれる国々38か国ほどから構成されています。

日本は先ほどご紹介した通り、平均給与が減少し、停滞が続いているのですが、他の先進国は右肩上がりで増加しているようです。
どうやら日本の労働者だけ給与が停滞していて、とりわけ男性労働者の変化が著しいようです。

次回は、もう少し男性のデータを違う視点から見てみましょう。

参考: 最新データ

本記事は2019年に執筆されたものです。
情報が古い部分もありますので、更新されたデータを追記いたします。

(2023年10月追記)

図6 平均給与 男女別
(民間給与実態統計調査より)

図6は男女別の平均給与を延長したグラフです。

全体として停滞傾向ですが、2009年を境に上昇傾向が続いているとも見て取れます。

2022年では男女計でも、男性でも1997年のピークに迫る水準にまで上昇しています。

(2023年7月追記)

給与階級別 給与所得者数 男性

図6 給与階級別 給与所得者数 男性
(民間給与実態統計調査を基に作成)

図6が男性労働者の給与階級別の分布を更新したものです。
1997年(赤)と2021年(青)の比較となります。

「500万以下」が最頻値であることに変わりありませんが、2016年時点よりもやや高所得側にシフトしているようです。
「600万以下」から「1500万以下」の層が減り、「2000万以下」よりも高所得層が増えています。

中間層が多くの低所得側と少数の高所得側に分離している状況が確認できます。

平均給与 名目値

図7 平均給与 名目値 (1991=1.0とした倍率)
(OECD統計データより)

図7が1991年を基準(1.0)とした平均給与の成長率(倍率)を最新の2021年まで更新したグラフです。

日本は1991年から見ると停滞傾向が続き、1997年のピークから見ると目減りしていますが、2015年頃から非常に緩やかながら上昇傾向となっています。

ただし他国との差は歴然です。

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・データに疑問点などがございましたら、元データ等をご確認いただきますようお願いいたします。
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