062 図面:三面図を読めるようになろう!
三面図の基本的な読み方を解説します。

1. 三面図とは
この記事では、三面図の読み方について直観的に理解できるよう3次元的な画像を使って解説します。
製造業における部品設計・調達の基本は何といっても図面です。
3Dモデルデータによる図面レスの流れもありますが、今のところ図面による表現・理解が主流となります。
設計者は自分の必要な部品の形状や仕様を図面に表現し、調達担当者は図面を基に受託製造業者に見積もり、手配を行いますね。
受託製造業者はその図面の通りに部品を製作します。
図面にはその部品に要求される全てが表現されている必要がありますが、中でもその中心となるのが三面図です。
三面図は本来立体的な形状を、3方の平面に投射した2次元的に投影された図形で表現し直したものです。
各図形に、必要十分な寸法や公差、指示などが記入されます。

通常はこの三面図に描かれるそれぞれの2次元的な図形から、立体的な形状を理解する事になります。
上のサンプル図面では、理解を助けるために右側に鳥瞰図(アイソメ図)と呼ばれる立体的な画像が表現されていますが、このようなアイソメ図が必ずしも図面に記載されているわけではありません。
三面図は一般的にその部品を前から見た正面図、横から見た側面図、上から見た上面図から構成されます。
必要に応じて、下面図や背面図、断面図、拡大図なども用いられ、その部品を規定する形状を詳細に記述します。
設計者、調達担当者、製造担当者の中には、三面図を十分に読みこなせないためにトラブルに見舞われるケースもあるようです。
2. 三面図の理解
ここでは、三面図の見方を簡単な3次元的な形状を使って直観的に理解していきましょう。

上図のようなサンプル形状で具体的に考えてみます。
前方は円形状(青)ですが、後方に行くにつれて幅が狭くなっていきます。
上面は赤、下面は黄、右側面は緑、左側面は紫に塗られています。
もう少し3次元的な形状を確認したい人は、3Dモデルデータを用意しましたので、下記ダウンロードボタンからダウンロードして確認してみてください。
3D PDFというAcrobat readerさえあればだれでも見れる3D形式のファイルです。
このサンプルに対して、見る方向から確認していきましょう。

向かって正面が青い円の見える方向とすると、右側面、左側面、上面、下面、背面の方向が決まります。
これを三面図にすると、次のように表現されることになります。

三面図の見方のコツは、自分が「そちら側に回って見たままが描かれている」という感覚を持つことです。
例えば、右側面図は正面図に対して自分が「右側」に回り込み対象物を見たものが「右側」に描かれているわけです。
背面図であれば、右側面図に対してさらに右側に回り込んで見たままの形が、右側面図の更に右側に描かれています。
下面図も、正面図に対して下側に回り込んで見たままが、下側に描かれています。
右側面図では正面方向(円形状)が左側となり、左側面図では右側となります。
上面図では正面方向(円形状)が下側となり、下面図では上側に描かれます。
それぞれの図形で、どちら側に正面の円形状が描かれていて、何色が見えるのかを照らし合わせてみると、三面図の見方が良く理解できるのではないでしょうか。
このような表現の仕方は三角法と呼ばれ、現在流通している図面のほとんどはこの三角法によって記述されています。
ごく稀に、昔の図面などで一角法で描かれている場合もありますので、どちらの作図法で描かれているのか表題欄を確認するようにしましょう。
3. 三面図から立体をイメージしてみよう!
上記で立体形状と三面図の関係性がわかったところで、具体的に三面図を基に立体形状をイメージする練習をしてみましょう。
3.1 練習1

上の図のような三面図は、どのような立体形状でしょうか?
まずは自分の頭でイメージしてみましょう。

答えは、上図のような穴の開いたピラミッドのような四角錐です。
イメージ通りだったでしょうか?
もう少し、機械部品よりの形状についても練習してみましょう。
3.2 練習2

上図は典型的な機械部品です。
正面図で破線で描かれているのは、内部の見えない部分を表現しています。
4隅の円形状は二重線で描かれていますが、これはねじ穴である事を示します。

答えは上図のような凸型のブロック形状です。
3.3 練習3
次は上級編です。

板厚が一定の素材を曲げて作ったいわゆる板金部品となります。
どのような形状なのか、イメージできるでしょうか?

答えは上図のような板金ブラケットです。
いかがでしたでしょうか?
今回はモノづくりに関わる人が最初にハードルと感じやすい三面図の見方について、直観的なイメージができるような解説をしてみました。
三面図を見て立体イメージを持てるかどうかは、設計・調達・製造のいずれでも基本的な素養となりますので、是非身につけていただければと思います。
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株式会社小川製作所
取締役 小川真由
< 筆者紹介 >
2004年慶應義塾大学大学院修了後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)の航空宇宙カンパニーに入社し新規航空機の開発に携わる。5軸加工を中心とした精密機械加工業者での修行を経て、株式会社小川製作所に合流。
製缶・溶接・研磨加工、精密機械部品の製造・供給、機械設計・開発支援の3つの事業を手掛ける。WEBメディアを中心に、情報発信も積極的に行う。2024年よりNews Picksのプロピッカーとしても活動。
<主なWEBメディア掲載実績>
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