2020.02.21 中小製造業の未来を語りあう会
パネリストとして出席
2020年2月21日に参加させていただきました、「中小製造業の未来を語りあう会」について取り上げさせていただきます。
当日の模様などは、製造業のポータルサイト「MONOist」さんで記事にしていただいているので、是非そちらをご覧ください。
MONOist: 日本の低い経済成長率の要因は本当に中小企業なのか
本ブログの事も取り上げていただいています。
このブログでは記事化されていない部分を補足的にご案内いたします。
中小企業と大企業の良いところをとったような新しい製造業の組織形態としてのチャレンジにより、「中小企業が日本経済をダメにする」という論調に対する一つの解決方法を示したい、との思いから「中小製造業の未来を語り合う会」が呼びかけられました。
私は今回の呼びかけ人である、由紀ホールディングス社の大坪社長にお声がけいただきまして、パネリストの1人として参加させていただきました。
由紀ホールディングス社は、日本の中小製造業としては画期的な複数の中小製造業によるホールディングス(持株会社)です。
個別のグループ企業の事業に対して、ホールディングスとして資金調達や技術開発などの機能を供するという試みをされています。
元々開発型の町工場を標榜してらっしゃり、当社としてもその姿勢などお手本とさせていただいています。
大坪社長は、日本の中小製造業を代表する経営者の1人です。
一緒にパネリストとして参加されたのが、ヨーロッパで最大の経営コンサルティング会社(!!)のグローバル共同代表兼日本法人代表取締役である長島聡さん、経済産業省 特許庁 中小企業知財戦略総合支援調整官の西垣淳子さんでした。
お二方とも中小企業の実情をよくご存じの上で、それぞれの専門分野についての深い知見を併せ持つ素晴らしい方々でした。
100名以上の参加者の皆様も、日本の中小企業を代表するような経営者の方々や、各分野の第一人者ばかりで、私がパネリストとしてここに座ってて良いのかと思うような錚々たる顔ぶれでした。
本来は参加者が一堂に集まって顔を合わせてのディスカッションとなる予定でしたが、当日はコロナウィルスの影響もあって、WEB配信という形となりました。
参加者の皆様にはオンラインでコメントを入れていただくというスタイルとなりました。
補足資料
由紀ホールディングス社の試みの紹介に続いて、中小製造業の課題や展望についてのディスカッション、オンライン参加者との質疑応答という内容でした。
パネルディスカッションでは、発端となった「中小企業は本当に多いのか」という問いに対する各々の見解から、中小製造業の生産性や大企業との格差という現状認識、知財戦略、デザイナーとのコラボレーション等の解決策など、内容は多岐にわたりました。
私の方から提示させていただいたグラフを下記の通り再掲させていただきます。
図1 人口あたり中小企業数
(OECD統計データ より)
図1はOECD各国の人口百万人当たりの中小企業数です。
日本は人口あたりに直すと中小企業数は非常に少ないと言えます。
少なくとも日本経済が停滞しているのは単に「中小企業が多いから」というわけではなさそうです。
図2 労働生産性
(OECD統計データ より)
次に提示させていただいたのが図2のOECD各国の労働生産性です。
日本は4.18US$と、OECD加盟国の中でも中位に位置します。
1つ上位のスペインからはガクンと1段下がったグループに属し、G7平均はおろかOECD平均にも届きません。
明らかに日本の労働生産性については先進国の中で低迷していると言えます。
図3 製造業の1人あたり付加価値
(工業統計調査 より)
次に提示させていただいたのが図3の製造業における1人当たりの付加価値額(生産性)です。
小規模企業と大手企業で実に3倍以上の生産性の違いがあることが分かります。
規模による生産性の差は歴然ですね。
面白いのが大手企業以外は生産性が向上しているのに、大手企業はこの15年で生産性が下がっている点です。
海外展開などで仕事が流出した割には、従業員が減っていない事で結果的に生産性が下がったのではないか、といった議論となりました。
このようなことから、日本経済が停滞している要因は「中小企業が多いから」ではなく、「生産性の低い中小企業が多いから」ではないか、との問題提起をさせていただきました。
それでは、中小製造業の生産性を高めるにはどうしたらよいか!?
次のような事がヒントとなりそうです。
・ 由紀ホールディングス社の推進するYUKI Method(中小企業のホールディングス化を含む)
・ 「モノづくり知見のない顧客」を作る
・ 「モノ起点」から「価値起点」への転換
・ スーパー下請け化
・ 大手企業も含め顧客と対等なパートナーシップを結ぶ
・ 特許など知財による付加価値の追加
・ 大手企業ではカバーできないニッチ分野で多様性という付加価値を発揮する
※ 「生産性を高める」という言葉は「安いものをよりたくさん作る」といった意味で捉えられがちですが、
上記で議論されているのはあくまでも「生産性を高める=付加価値を上げる」という観点においてです。
(つまり質的な価値を向上させるという意味ですね)
詳しくは是非MONOistの記事をご参照ください。
MONOist: 日本の低い経済成長率の要因は本当に中小企業なのか
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